オデッサ・ファイル (1976)
フレデリック・フォーサイスのベストセラーの映画化
だいぶ前に見た様な気がしていたが
見出したら、見ていない事に気が付いた。
所謂、ナチス・ドイツの戦犯を新聞記者が追う話である。
似た様な映画で「マラソンマン」というのが在ったが
あちらはダスティ・ホフマン主演。
此れはダスティと一緒に「真夜中のカーボーイ」で
コンビを組んだジョン・ボイド主演。
彼は今やアンジェリーナ・ジョリーの父親として有名だが
若く長身の正義感のある役がハマッている。
まず小説と同じ、ケネディが暗殺された日という
導入部が巧い。
会社勤めを嫌って、フリーになったジャーナリストが
たまたま出くわした、自殺したユダヤ老人の日記に
興味を持ち、調べている内に”オデッサ”という
ナチの親衛隊の逃亡を手助けしている闇組織に辿り着く。
主人公の記者はドイツ人だがユダヤ系。
微妙な立場だが戦後教育を受けているので
ナチスの思想には染まって無く
その”オデッサ”に潜入しやすいと
ナチスの残党を追うグループで特訓を受け
変装をして組織に近づく。
しかし”オデッサ”は警察にまで、その網を張っていて
見破られてしまいそうになる・・・。
自分が狙われているのに恋人を残して追跡し
電話で今居る場所を教える等と、今のサスペンス物なら
有り得ない間抜けな主人公だが
1974年当時なら、そんな展開でも良かったのだろう。
監督のロナルド・ニームはイギリス出身
ヒッチコックやデヴィッド・リーンの下で腕を磨き
代表作は、あの「ポセイドン・アドヴェンチャー」
その構成力には定評があり此の作品でも緩む事無く
最後まで緊張感を持続させて流石。
此の辺りからネタバレ
危険をかえりみず、ジャーナリストの正義感だけで
執拗にユダヤ人収容所の所長ロシュマンを追う
彼の執念が、観客には最後まで判らないのだが
クライマックスで、その意味が明かされる。
まあ、そこが此の映画のコアだから
敢えて、それは明かさないが・・・。
とにかく此の当時、まだベルリンの壁が在り
”今、西側が繁栄してるのは
俺たちナチスが影で操っているからだ”と
豪語する敵役ロシュマンを演じる
オスカー俳優マキシミリアン・シェルの
人間臭い演技に説得力があり
主人公まで、その気にさせちゃうんじゃないかと
ハラハラさせる。
それから実姉・女優のマリア・シェルが
主人公の母親役で、此の映画の伏線を
云って居るのだが、誰も気が付くまい。
「ブラジルから来た少年」「マラソンマン」と此の映画
ナチスの残党を追う作品のBEST-3であろう。
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