2016年2月29日月曜日

アーノルド・ニューマン写真集”芸術家たち”
ピアノに寄りかかっているのは作曲家ストラビンスキー。
此の1枚の写真を撮ったのは
アメリカの写真家アーノルド・ニューマン。
その世界で、”ポートレイトの巨人”と言われる。

彼は肖像写真を絵の様に
否、デザインするように撮る。
此のセレクト用の4枚を観て欲しい。
ストラビンスキーは彼の注文に応じて
座ったり立ったり、そして結局
ピアノに寄りかかった処の一瞬でシャッターを切られ
それも大胆に左端にトリミングされている。
そして、もう一度、上の1枚の写真を見て欲しい。
鍵盤から指を離した静寂さが感じられるではないか?

此んな構図で肖像写真を撮ったのは
彼が最初だ、それは中世以来の肖像画の伝統では無い
ジョン・ゲージ等の現代芸術、現代絵画の手法だ。

彼はマイアミ大学で油絵を学んだ後
生活のため、フィラデルフィアの写真館で
1枚49セントの肖像写真を撮っていたと言う。
そこで此の技法を膨らましたのだろうか?

とにかくニューヨークに出て個人写真スタジオを開いてから
下に在る様な有名人や芸術家が
好んで彼に肖像写真を撮って貰いたがり
此の写真集が出来上がった。
その特徴は、それらの人物の肖像に
彼等の持つ世界が投影されている事だ。
それは作品と一緒に写したと言うだけでなく
当人のクローズ・アップにも、その世界を
写しているのだ。
政治家や映画監督そして女優の心の奥まで
撮ってしまう才能は既に写真家の領域を超えている。

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