2015年11月16日月曜日

誰でもない女(2012)
此れは劇場未公開映画。
ノルウェーとドイツの合作である。
そしてそれは又、両国の触れてはならない
過去の恥部の物語である。
第二次世界大戦でナチス・ドイツが東欧
ポーランドやオーストリアを支配下に置いたのは
よく映画にされる事実であるが
北欧ノルウェーまでナチス・ドイツが侵攻し
アーリア系の人種を増やそうと。ドイツ兵が
ノルウェー女性を妊娠させたことは知られていない。
しかも、その生まれた子供をドイツに送り
施設で集団で育てていたとは・・・。

話は、その擁護施設育ちの娘が
母恋しさに東ドイツから亡命
海を小舟で渡り、ノルウェーに流れ着く。
そして恋をして結婚
子供も作り、平凡な家庭を築いている。
そこにドイツの戦争犯罪を追求している弁護士が
訪ねて来る。
此処からネタバレ注意
実は此の女、東ドイツからノルウェーに
送り込まれた女スパイだったのだ。
しかし時は、もう冷戦終結、諜報活動も休止して
穏やかな暮らしをしている女は
自分の過去が暴かれるのを恐れ
擁護施設の記録を抹消しようとする。
それは確かに本物の娘は母を訪ねて
彼女の家まで来たが、スパイである彼女の目の前で
東ドイツのシュタージ=秘密警察に殺されてしまう。
そんな過去を隠して、本物でもない母親に
何も知らない夫、そして生まれた娘と
その孫に囲まれた女は
”誰でもない女”だったという訳。

監督はゲオルグ・マース、ノルウェー人だろうか?
北欧という厚い雲の垂れ込めた
モノトーンに近い映像に此の映画のテーマの重さを
象徴させている。

此の難しい役を演じている女優はユリアーネ・ケラー。
女スパイと生活感のある普通の母親との演じ分けが見事。
そしてベルイマン映画の常連女優リブ・ウルマンが
彼女を自分の娘と信じて育てた母親を演じて流石。

此の映画文法はストーリーの過去と現在を分解し
ジクソーパズルの様に展開するので
最後まで謎解きとして興味を引かれる。

それにしても哀れなのは彼女の偽りの人生。
やっと掴んだ幸せも所詮、嘘だから脆く崩れてしまう。
総てが、あの時代の犠牲者だったのだと・・・。

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