誰でもない女(2012)
此れは劇場未公開映画。
ノルウェーとドイツの合作である。
そしてそれは又、両国の触れてはならない
過去の恥部の物語である。
第二次世界大戦でナチス・ドイツが東欧
ポーランドやオーストリアを支配下に置いたのは
よく映画にされる事実であるが
北欧ノルウェーまでナチス・ドイツが侵攻し
アーリア系の人種を増やそうと。ドイツ兵が
ノルウェー女性を妊娠させたことは知られていない。
しかも、その生まれた子供をドイツに送り
施設で集団で育てていたとは・・・。
話は、その擁護施設育ちの娘が
母恋しさに東ドイツから亡命
海を小舟で渡り、ノルウェーに流れ着く。
そして恋をして結婚
子供も作り、平凡な家庭を築いている。
そこにドイツの戦争犯罪を追求している弁護士が
訪ねて来る。
此処からネタバレ注意
実は此の女、東ドイツからノルウェーに
送り込まれた女スパイだったのだ。
しかし時は、もう冷戦終結、諜報活動も休止して
穏やかな暮らしをしている女は
自分の過去が暴かれるのを恐れ
擁護施設の記録を抹消しようとする。
それは確かに本物の娘は母を訪ねて
彼女の家まで来たが、スパイである彼女の目の前で
東ドイツのシュタージ=秘密警察に殺されてしまう。
そんな過去を隠して、本物でもない母親に
何も知らない夫、そして生まれた娘と
その孫に囲まれた女は
”誰でもない女”だったという訳。
監督はゲオルグ・マース、ノルウェー人だろうか?
北欧という厚い雲の垂れ込めた
モノトーンに近い映像に此の映画のテーマの重さを
象徴させている。
此の難しい役を演じている女優はユリアーネ・ケラー。
女スパイと生活感のある普通の母親との演じ分けが見事。
そしてベルイマン映画の常連女優リブ・ウルマンが
彼女を自分の娘と信じて育てた母親を演じて流石。
此の映画文法はストーリーの過去と現在を分解し
ジクソーパズルの様に展開するので
最後まで謎解きとして興味を引かれる。
それにしても哀れなのは彼女の偽りの人生。
やっと掴んだ幸せも所詮、嘘だから脆く崩れてしまう。
総てが、あの時代の犠牲者だったのだと・・・。


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