片山健:美しい日々
此の本は鉛筆で描かれた画集だ。
1985年に出版されている。
彼は私と同じ武蔵野美術大学の
今はグラフィック・デザイン科となった
商業デザイン科卒であるが
6年も先輩なので顔を拝見したのは
雨宿りで入った築地の地下画廊
彼の油絵の個展会場だった。
そこに痩せた彼がポツンと座り、絵を売っていた。
ゴッホを思わせる点描で描かれた1枚の
林の中の少女の絵を私は気に入って購入したが
ギリギリまで彼は筆を入れていたらしく
油絵の油が乾いていなくて持ち帰るのに
苦労したのを覚えている。
処で今日の1冊「美しい日々」だが
ご覧の様なモノトーンで描かれた鉛筆画は
同じ画家が描いた作品とは思えない程
タッチが違っている。
幻想画家のポール・デルヴォーを思わせるエロティシズム
少年少女時代のはっきりしない性欲や残酷性が
悪い夢を見ている様に表現されて,観る者の心を乱す。
彼の心境に何があったのかは知らないが
ピカソの”青の時代”の如く、此の暗い時期を経てこそ
印象派風なカラフルな色彩でイノセントな絵本を描き
様々な賞を取り、世間に評価された。
しかし、私の持っている絵もそうだが
そこに登場する子供達は、ワンパクそうだが
何処か淋しげなのは、彼の持つ本質が
変わらないからなのだろう。
変わらないからなのだろう。







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