2015年11月22日日曜日

片山健:美しい日々
此の本は鉛筆で描かれた画集だ。
1985年に出版されている。
彼は私と同じ武蔵野美術大学の
今はグラフィック・デザイン科となった
商業デザイン科卒であるが
6年も先輩なので顔を拝見したのは
雨宿りで入った築地の地下画廊
彼の油絵の個展会場だった。
そこに痩せた彼がポツンと座り、絵を売っていた。
ゴッホを思わせる点描で描かれた1枚の
林の中の少女の絵を私は気に入って購入したが
ギリギリまで彼は筆を入れていたらしく
油絵の油が乾いていなくて持ち帰るのに
苦労したのを覚えている。

処で今日の1冊「美しい日々」だが
ご覧の様なモノトーンで描かれた鉛筆画は
同じ画家が描いた作品とは思えない程
タッチが違っている。
幻想画家のポール・デルヴォーを思わせるエロティシズム
少年少女時代のはっきりしない性欲や残酷性が
悪い夢を見ている様に表現されて,観る者の心を乱す。
彼の心境に何があったのかは知らないが
ピカソの”青の時代”の如く、此の暗い時期を経てこそ
印象派風なカラフルな色彩でイノセントな絵本を描き
様々な賞を取り、世間に評価された。
しかし、私の持っている絵もそうだが
そこに登場する子供達は、ワンパクそうだが
何処か淋しげなのは、彼の持つ本質が
変わらないからなのだろう。

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