2015年2月14日土曜日

海の民パジャウの物語
BS1の世界のドキュメンタリー・シリーズで放映した此の作品は
陸地に定住せず、東シナ海で魚を捕って暮らす
少数海洋民族を記録したものだ。
現代社会で身分証明書も生活保障も無い彼等は
今、その文化と伝統が失われつつある。
カメラは両親のいない少年が伯父に漁を教わる処から始まる。
まだ潜水の仕方も解らない甥に素潜りを丁寧に教える伯父。
見慣れた日本のドキュメンタリー番組と違い
ナレーションも無く、必要最小限の会話が時々入るだけ
それでも伯父の温かい愛情が少年を育てているのが伝わって来る。
海の上に杭を打ち、建てた粗末な小屋で暮らす家族
伯父の妻が戻った夫に愚痴をこぼし
それを又、何も言わず聞き流す夫。
彼等の暮らしが今、難しい事をカメラが冷めて捉えている。
そう、まるで、其処にスタッフが居ないかの如く
彼等の自然な日常が映し出される。
岩合さんの撮る猫ではないが、此処まで彼等に
カメラを意識させないのは、相当な時間を要した事だろう。
魚が捕れなくなってダイナマイト漁をして
片腕を失った漁師は少年に
「此れからは学校に行って役所に勤めるか
リゾートで働け!」と薦める。
少年は云われた通り、リゾートにダイビングに来ている
西洋人たちの手伝いを始める。
彼等の白い肌とビキニの水着が眩しい。
始めてみる異文化の衝撃。

甥は、もう戻って来ないと諦めた伯父に
再び素潜りの稽古をしに来た少年の姿で
此のドキュメンタリーは終わる。
美しい海の中の世界、そして果てしない大海原
何も解説せず、ただただ現実を見せるだけ
それでも監督の云わんとする事は解る。
此のドキュメンタリーは2014年イギリス作品
原題は“Walking Under Water"
カナダのHot Dodsドキュメンタリー映画祭・審査員特別賞

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