アニー・ジラルド(1931〜2011)
此のフランスの女優は遅咲きだ。
デビューが「殺人鬼に罠をかけろ」(1958)だから27歳
娘役はしないままギャングの情婦役などが多かった。
それがイタリアのルキノ・ヴィスコンティに抜擢され
「若者のすべて」のヒロイン役でブレークした。
ボクサー役レナート・サルバトーリの愛人ながら、
アラン・ドロン扮する、その弟と恋に落ち
兄の目の前で犯されるという汚れ役を見事に演じた。
此処で興味深いのは、その兄役のレナートと
此の映画が縁で結婚し、彼が死ぬまで添い遂げた事実。
此の後、「天井桟敷の人々」の名匠マルセル・カルネの
「マンハッタンの哀愁」でフランス映画ながら
ニューヨークを舞台に孤独な異邦人どうしの
出会いと別れを切なく演じ
ヴェネツィア映画祭の主演女優賞を取っている。
クロード・ルルーシュは「パリのめぐり逢い」と
「あの愛をふたたび」で、二度もヒロインにしている。
決して美人でも無く、スタイルも良く無い彼女に
フランスの名監督達は何故夢中に成るのだろう?
あの「冒険者たち」の原作者ジョセ・ジョバンニも
「ル・ジタン」で彼女をヒロインにしている。
もっとも此の作品には夫のレナート・サルバトーリも
出ていたが・・・。
その後も「レ・ミゼラブル」「ピアニスト」で
二度もフランスのセザール助演女優賞に輝いた。
まだ皺だらけでも頑張っているジャンヌ・モローもそうだが
フランス女の恋心は、まさに灰に成るまで消えない!
それを演じ続けた女優が、彼女なのだろう。
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