2014年11月27日木曜日

長門裕之(1934〜2011)
先日、「鬼平犯科帳」(谷中いろは茶屋)を観ていたら
彼が盗賊の親分で出ていた。
押し込み先で、平気で家族を皆殺しにする
盗賊の親分という非情な役だったが
死んだ息子と同じ年頃の尾美としのり演じる若い役人に
情をかけ、最期は自分を殺させる良い役だった。

彼を調べると映画界では知る人ぞ知る
マキノ一族に生まれ
早い内から天才子役としてスクリーンに登場していた。
でも私の観た映画に登場したのは
今村昌平の「豚と軍艦」が最初だった。
中学生の私に、彼が便器に顔を突っ込んで死ぬラストは
強烈な印象を残した。
二枚目の実弟、津川雅彦に日活を追われ
演技派としてフリーで活躍したのは
彼には豊かな表現力が有っての事。
吉田喜重の「秋津温泉」に芥川比呂志の代役で
出演する等、その渋い演技には定評があった。
それにしても彼のバイオグラフィーを辿ると
圧倒的な出演数、まさに日本映画の歴史の様。
役者の虫というか
その血筋が加東大介、沢村貞子を生んだ
先のマキノ一族だからか
日本ヌーベル・ヴァーグ映画にヤクザ映画
喜劇にメロドラマ映画なんでもござれ
さながら役者のデパート百貨店であった。

有名なエピソードに彼の母が亡くなった時
嘆き悲しむ弟の津川雅彦を鏡の前に連れて行き
それを覚えておけ、それが本当に泣く時の
人間の顔だからと・・・。
とにかく驚く程の作品数に出演し
日本映画の名作に足跡を残した割りに
受賞歴は「にあんちゃん」のブルーリボン男優賞(1959)
「古都」の毎日映画助演男優賞(1963)と少なく
むしろプライベートなスキャンダルで
晩年、評判を落としていたのが惜しまれる。

でもスカジャンを着てドブ板を跳ね回る
「豚と軍艦」のチンピラ役の彼と
先の”鬼平”での老盗賊の死に様の間には
役者の芸歴の重みがズッシリと感じられた。

2 件のコメント:

  1. 先日、我が町内にあるリサイクル屋さんで、ディアゴスティーニだったかのシリーズで出ていた「鬼平犯科帳」が
    6巻ワゴンに!思わず手に取り、どんな回のかな?と品定め。全部で1000円ちょっとでしたので、其の侭レジへ。
    レジのお姉さん、「良いですねーじっくり映画鑑賞」とか、小生「人形の衣装の参考にするのよ」と
    一瞬ビックリしてましたが、「ああ、着物リサイクル市に良く見える方でしたね」と、バレバレw
    「鬼平犯科帳」の衣装関連、時代考証等、特に町人や旅人の仕度、テレビでじっくり見直すって出来難い環境ですので尚更
    後は、ポアロの全集の半端物あたりが出てくれると、願っても叶っても。
    然し、衣装より前の本体(ボディー)を何とかしなくては、う~ん気が多くって困ります。

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  2. 私の描く時代物は人形と違い
    2次元ですから髪型など結構
    ごまかしが効きますが
    それでも着物の着付けなど
    江戸時代だけでも随分
    変化しているので時代考証は
    参考にしています。
    それにしても最近の時代劇は
    イイ加減で先行きが心配です。



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