2014年5月13日火曜日

勝新太郎伝説(加筆)
此れは一度、”大映カツライス”として
市川雷蔵と一緒に載せたはずだが
先日、オダギリジョーが勝新の足跡を辿る番組があり
その短い時間では彼の世界は到底追いきれていなかった。
とにかく日本映画史の中で彼は異質な存在。
特に”座頭市”に化けて?から
神懸かりの様な変化というか変態というか
危ない程の創作意欲に目覚め
役者だけではなく監督として市川崑や勅使河原宏から
受けた影響をそのまま自分に取り込み
野球で云えばバッター3.4番で監督までする
それこそ勝つ為には何でもする
否、負けてもイいい、自分が納得するまで
とことんヤル男に成ってしまった。
だからクロサワ天皇をして「監督は2人要らない!」と
「影武者」は降板させられたが
お互いに大人だったら、あの作品は傑作に成り得た
はずなのが、何とも惜しまれる。
それでも彼の残した”TV座頭市物語シリーズ”の
破天荒な演技や、自ら監督した作品には
当時の新人・ベテランを含め、どの監督よりも
斬新な演出が試みられている。
世界中探しても、あんな面白い映像を作っていた監督は
あの時代に居なかったのでは無いか?
しかし毎日、それだけを楽しみにしている
茶の間の高齢TV時代劇ファンをして
「訳が判んない、もう無茶苦茶・・・」と嘆かせた。
そう、幻覚で目の開いた座頭市が出て来るくだりに至っては
私もアメリカン・ニューシネマ”イージー・ライダー”みたい
「もう、むちゃくちゃだな」と笑い転げた。
誰も制御出来なくなった彼は暴走して自爆した。
敢えて”自爆”と云うのは、
様々な理由で、映画が撮れない情況に焦った彼は
”勝新”という伝説を生きながらにして造り始めた。
麻薬を海外に持ち出し(逆は良く有るが)
それが知らないうちにパンツに入っていた云々
癌で入院、退院した時もビールと煙草で記者会見
マスコミを正に煙に巻く天衣無縫ぶりを見せた。
それは自分以外、死人の出ない自爆であった。
そんな”勝新”が、今でも私は愛おしくてならない。

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