2014年2月28日金曜日

女優・高峰秀子
此の女優は美空ひばり以前から日本映画に子役と出演し
戦後の日本映画黄金期における名作のヒロインを
演じて来た大女優だ。
早くから大人の間で揉まれる子役は
大成しないと云われる其の世界で彼女は奇跡に近い。
取り分け鼻筋の通った美人と云う訳でもなく
ごく平凡な容姿で此れだけの大役をこなして来たのは
名匠と呼ばれた監督たちの期待に
見事に答えた類い稀なる演技力
そして内面から滲み出る心の美しさが感動を誘うのだろう。
こうして彼女の出演した映画ポスターを並べただけでも
日本映画ベスト-10になってしまうのが凄い!

その高峰秀子の魅力を最大限に引き出した
監督と云えば此の人
成瀬巳喜男の世界
戦前から活躍していた監督だが
終戦後から昭和という波乱の時代を
事細かに描写しながら高峰秀子という逸材を育て、
女性映画の傑作を作り続けた。
日本の女性映画と云えば
”母もの”というジャンルで三益愛子や望月優子
”大船調”と呼ばれた、すれ違いのメロドラマが多いが
成瀬のそれは、とかく批評家に持て囃される
溝口健二や小津安二郎の様式美の影に隠れた
自然でオーソドックな手法だ。
それでも人生の荒波に、健気に立ち向かい
ひたむきに愛に生きようとする女性を静かに描き
そのモノクロの作品群は時代を超えて感動を誘う。
今、改めて観賞する都度、その非凡な才能が再認される。

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