2014年1月9日木曜日

伊福部昭の映画音楽:その2
空の大怪獣ラドン(1956)
昨日の「鬼火」と一緒に観た怪獣映画は何だったんだろうと
調べたら此れだった。
「鬼火」の余りにも強烈な印象は「ラドン」よりも
強かったという事になる(笑)
それでも先日、本屋で購入した此れのDVD
(初回限定980円!)を久しぶりに観た。
そして、その完成度の意外な高さに驚いた。
東宝特撮映画としては始めてのロケ。
それも九州は阿蘇山と炭坑をドラマの舞台にしている。
炭坑の落盤事故で記憶を失った男が
少しづつ、その記憶を辿ると
炭坑の中で巨大な昆虫に仲間が襲われ食われ
その昆虫を又、食べてしまう恐竜の卵が孵化する場面を思い出す。
しかし誰も、そんな話は信用せず
彼は殺人犯扱いにされてしまう。
後で、その昆虫はトンボの幼虫”ヤゴ”の巨大化したものであり
それを食べた巨大恐竜は学名・翼竜プテラノドン
(略して”ラドン”)と云う事が明かされる。
此れ又、出来たばかりの西海橋をくぐり抜ける敏捷さは
先に出した怪獣「ゴジラ」とは違う恐怖感が有った。
出演者も佐原健二に白川由美と人気スターを揃え
後に此の手の怪獣映画に必ず登場する博士役に
平田昭彦が古代生物学者を演じている。
それと今では当たり前だがコンピューターを使った
巨大な卵のカケラから怪獣のサイズの特定は
少年の私に新しい時代を感じさせたものだ。
撮影資料を読むとラドンは当初の原作では
雌雄2匹では無く1匹だったとか?
阿蘇山の噴火をミニチュアで撮るのに
特撮でカラーは始めてだったので
紅い溶岩の色を出すのに本物の溶鉱炉から鉄を溶かし流した。
その高熱でラドンを吊っていたピアノ線が切れ
予定外にラドンが火口に落ちてしまった。
そのアクシデントを、そのままドラマに組み込んで
雌のラドンを雄が助けようとして2匹とも
焼け死んでしまうというラストに急遽変更したとか?
その御蔭で、それを観た白川由美が哀れに思い泣き
それを佐原健二が慰めるという感動的なラスト・シーンが
出来上がった。
人間を襲う怪獣に同情するというのは変な話だが
「ゴジラ」しかり彼等に罪は無い。
彼等を古代から蘇らせた原爆や異常気象が悪いという論理が
此れ以降の巨大怪獣映画の定説と成った作品でもある。
定説と云えば日本の怪獣映画に
伊福部昭の叙情的な音楽が付けられたのも
此の映画が最初だろう。
その後「モスラ」に大映の「大魔神」まで特撮映画には
伊福部昭の音楽はセットになった。
それと偶然だと思いうが此の年(19569)に伊福部は
昨日の「鬼火」の他に、市川崑の「ビルマの竪琴」の音楽も
書いていて正に絶好調。
様々な才能が噛み合って此の名作が出来上がった訳である。
どちらにしてもC.Gを使わず当時の技術で
此れだけのスケール感を持った映画が出来ていた
と云う事は驚くに値する。

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