鬼平外伝・正月四日の客
此の作品は去年放映されたが、DVD発売に伴い
先日BSで特別にオンエアされた。
池波正太郎の原作に、向田邦子の作品を多く手がけた金子成人が脚色
監督は此のサイトでも紹介した故・中村勘三郎が勘九郎時代に
やった名作TVドラマ「森の石松」の井上昭。
まあ、時代劇の演出は手慣れたもので、此の作品
その月のギャラクシー賞を取っただけ有って
そこそこの完成度には成っていた。
しかし短編を2時間ドラマに引き延ばした為
その構成に可成りの無理が感じられた。
それでもキャスティングが柄本明と松平健だから
芝居としては充分見応えは有ったが
敢えて文句を云わせてもらえば
演出・井上昭のテンポが如何にせん緩く
あと30分ほど編集で切ったら更に良く成ったかと私は思う。
話は蕎麦屋を営む床兵衛(柄本明)が
毎年正月四日だけ”真田そば”と云うものだけ出していた処に
盗賊の亀の小五郎(松平健)が、たまたま客として来て
気に入り、毎年正月四日通う様になる。
お互いに”真田そば”に、まつわる哀しい思い出を持っていて
話すうちに心が通い合う。
しかし亀の小五郎に恨みを持つ盗賊の手下の虚言により
床兵衛は許せぬ!と亀の小五郎を鬼平に”売って”しまう。
それが後に嘘だと解り、後悔した床兵衛が
亀の小五郎が打ち首に成る朝、
獄中に”真田そば”を打って届けるという人情話だ。
如何にも食通の池波正太郎らしい物語で
松平健も”マツケン”らしからぬ押さえた演技もあって
末期のそばを啜る場面には泣ける。
しかし床兵衛役・柄本明の渋い芝居を生かしきれない
演出(間の取り方)が、くどくて冗漫。
「東京ものがたり」等、久世光彦ドラマで
良く柄本明を知っている脚本家・金子成人の
”アテ書き”と思われるだけに実に残念だった。
此の話、以前TV鬼平シリーズでも、やっていたらしく
その時は蕎麦屋の女房が山田五十鈴で
盗賊(河原崎長一郎)に三味線を聴かせる
という場面があったらしい。
それはそれで劇場の何幕物かの芝居の様で、
さぞかし、しみじみした良い場面に成っただろう。
いつか是非観てみたいものだ。


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