2013年2月2日土曜日

(日本映画・女優編
岸田今日子(1930~2006)
彼女は劇作家の岸田國士の娘だ。
その父の影響も有って早くから演劇に興味を持ち
自由学園卒業と同時に舞台美術として文学座の研究生となる。
しかし俳優としての素質が認められ20歳で舞台に立っている。
三島由紀夫の戯曲「サロメ」に抜擢され
「陽気な幽霊」ではテアトロン賞を受賞している。
その実力は演劇界のみならず映画界でも
市川崑の「破戒」で毎日コンクール助演女優賞
勅使河原宏の「砂の女」ではブルーリボン助演女優賞と認められた。
文学座の体制に批判的な座員たちと劇団「雲」そして
演劇集団「円」と設立し別役実の新作を上演する。
それと平行しテレビ・ドラマ「男嫌い」等で彼女独特の
言い回し「かもねえ」「そのようよ」が話題に成り
声だけの出演「大奥」等のナレーション”「大奥では・・・」も
多くの物まねタレントのネタになった。
勿論,映画でも、その個性が巨匠達に愛され
豊田四郎の「濹東綺譚」に、小林正樹「人間の条件」
山本薩夫の「忍びの者」、増村保造の「卍」、今井正の「武士道残酷物語」
特に市川崑監督作品では「破戒」以来「おとうと」「黒い十人の女」
「私は二歳」「犬神家の一族」等と殆どの作品に顔を出している。
私にはTVの海外トラマ「ミス・マーブル」の吹き替えが
気に入ってよく観ていたが、それが遺作と成った様だ。
とにかく若いときは個性的な美人
歳を重ねては、当人は気に入っていなかったろうが
”怪優”の名を欲しいままにした女優である。
”怪優”で思い出したが
水谷豊の「相棒」シリーズに彼女がナント法務大臣役で出演した事があった。
水谷とは「傷だらけの天使」以来の競演のはずだが
彼はショーケンの子分の”アキラ”から特命捜査官、
彼女は探偵事務所長から法務大臣と出世した?二人の対決は
流石に見応えがあった。
特に、そろそろ体調が思わしく無かったはずの岸田の
凄みの有る怪演は何とも忘れがたい。

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