(日本映画・女優編)
飯田蝶子(1897〜1972)
浅草生まれだから下町のお婆ちゃんをやらしたら天下一品。
浅草生まれと云えば”お貞ちゃん”こと沢村貞子も居るが
飯田の方が、ずっと先輩だ。
昭和8年から坂本武とコンビで小津作品に多数出演していた。
独特のシワガレ声で話す下町弁は独特の味わいが有った。
シリアスなものからコミカルなものまでこなし
私には加山雄三の「若大将シリーズ」の祖母役で
赤いムームーを着てフラダンスを踊っていた姿が懐かしい。
もっとも,あの頃のお婆ちゃんはアッパッパーという
ムームーの様なものを夏は皆着ていたな。
浦辺粂子(1902〜1989)
飯田と同じ様に下町キャラだが
彼女のキャリアも戦前からだから、恐ろしく長い。
芸名も何度も変えており浦辺粂子として
成瀬巳喜男、小津安二郎、黒澤明映画の脇役で安定した。
その独特の、もったりした言い回しはテレビ時代に受け
片岡鶴太郎にモノマネまでされた。
晩年の彼女を私は昔住んでいた中野坂下辺り
新大久保通りのバスの車内で何度か見かけた事が有る。
一度は彼女がバスの急ブレーキに転倒し、危ないなと思ったが
案の定、後日、彼女は自宅の階段で転倒し
血だらけに成っても3日間誰にも気付かれず瀕死で助け出されたり
最期には調理中、袂に火が付き大火傷、それが原因で亡くなったとか。
出演した映画「にっぽんのお婆ちゃん」に描かれた
老人ホームの環境より一人暮らしの
気侭さを選んだ彼女の哀しい結末と云える。
0 件のコメント:
コメントを投稿