2012年11月27日火曜日


この愛のために撃て
ジェラール・ピレスの「TAXI」に始まり
「アーティスト」で米国アカデミー賞を取ったミシェル・アザナヴィシウスに
そして此の映画の監督フレッド・カヴァイエと
今フランス映画界は着実に世代交代が進んでいる様だ。
特に、それが顕著なのはアクション映
    フランス映画伝統の”フィルム・ノワール”の匂いを残し
    ハリウッドのテンポの良い展開を吸収した若い監督たちが
    此の様な面白い作品を作り始めた。
    ギャラの高そうな大スターこそ使っていないが
    可成りの予算をつぎ込んで丁寧に撮られた
    息もつかせぬアクション・シーンは文句無しに楽しめる。
    主人公は臨月の妻をかかえた平凡な看護助手。
    此の男が病院で殺し屋から患者を救ったばかりに
    殺し屋の仲間から妻を誘拐され、患者を病院から連れ出せと脅迫される。
    日本人なら警察に直ぐ相談して助けを呼ぶ処を
    個人主義的な国柄のフランス人の主人公は身重の妻を救うべく
    単身、行動に移る。
    それから先は病院から患者を連れ出し一緒に逃げる、走る。
    そう患者は重要指名手配犯で警察に追われていたのだ。
    逃げる、走るは先に此のサイトに載せた「アドレナリン」と
    同じパターン。でもアチラは当人にハンディがあったが
    此の映画では今にも子供が産まれそうな妻が人質
    というハンディが緊張感を産む。
    それに頼りにしていた警察の女刑事が上司にアッサリと殺され
    アレッどうなってるの?フランス警察は・・・と
    物語の意外な行方に興味を持たせる。
    そう此の監督フレッド・カヴァイエは優れたシナリオ・ライターでもあり
    デビュー作「すべては愛のために」(2008)は
    すぐさまラッセル・クロウ主演の「3デイズ」としてリメイク
    私は、そちらの方を先に観て、やはりシナリオの巧い
    ポール・ハギス作品だったので、さすがと感心していたのだ。
    此の2重も3重ものドンデン返しは
キャスティングの良さも絡んでいて主人公と逃げる指名手配犯役
(ロシュディ・ゼム)の人相の悪さに観客は引っかかってしまうし
警察の上役(ジェラール・ランヴァン)の貫禄ある風貌にも騙される。
しかし何より主人公(ジル・ルルーシュ)の真面目で優しそうな
キャラクターが此の物語を面白くさせている。
ラストに指名手配犯と警察に乗り込む時
どちらが警官に化けるかと決めるのに
「お前の顔は警察官には見えない」というユーモアに笑えた。
とにかく出て来る良い奴、悪い奴どちらもタフで
撃たれようが殴られようが立ち上がり
懸命に生きようとする処が此の映画の魅力だろう。
特に主人公の妻(エレナ・アナヤ)が
大きな、お腹で走り、戦う姿に感動させられる。
まあ、これも直ぐハリウッドでリメイクされるに違いないだろう。

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