十兵衛暗殺剣:監督・倉田準二
友人に頼まれたVHSのDVD化の中に此れが含まれていた。
その友人は結構マニアックで洋画邦画と何でも観ておられる。
私とは中村錦之助の「関の弥太っぺ」が邦画では一番という事で気が合った。
さて、近衛十四郎主演の此の時代劇は私に取って題名はおろか
監督の名も記憶に無い全く未見の作品である。
取り敢えずDVDに落として、日が暮れてからスクリーンを下し
ホームシアターで試写会と相成った。
まず、ファースト・シーンが時代劇なのに水中から始まるのに驚かされる。
それは琵琶湖を本拠地とする湖賊(こぞく)と呼ばれる部族が
潜って囚われ湖上に吊り下げられた仲間を救いに行く場面なのだ。
まるで007の「サンダーボール作戦」の様。
此の映画「十三人の刺客」「大殺陣」と共に、後に”東映集団抗争時代劇”と呼ばれ
そのマニア達からは傑作の1つと誉れが高い事も調べて解った。
寛永元年、新陰流の正当な継承をめぐり柳生一族と幕屋一門が面目をかけ
江戸と近江の琵琶湖を舞台に地上戦、水中戦と斬り合い、
息もつかせぬチャンバラの連続。
五味康祐の原作らしいが、敵味方がハッキリしないのは
敵役の大友柳太郎が私の少年時代「怪傑黒頭巾」でヒーローだったせいもある。
いっそ、役を交換したら、もっと解り易く成ったかも知れない。
ともかく彼の押し出しの良さは主役の近衛十四郎が霞むほど。
しかし、悪役が強いほど映画は面白いという定説通り
此の映画の完成度は高く成った。
白黒映像ながら琵琶湖の夜景も美しく、邦画では珍しくスケールのある
スペクタクルな画面は当時のハリウッド70mm映画に対抗して引けを取らない。
監督・倉田準二はマキノ雅弘や内田吐夢に師事していたらしいが
東映時代劇では正当派。後に映画の斜陽化によりTVで
「仮面の忍者・赤影」等を撮っていたらしい。
どちらにしても、以前取り上げた大映の現代劇と同様、
此の頃の東映時代劇のレベルは相当高かった事が窺える。
温故知新、映画の楽しさは切りがない。


0 件のコメント:
コメントを投稿