2024年6月22日土曜日

婚期(1961):吉村公三郎監督作品
此の映画は何故か封切りで観ている。
久しぶりに観て、その展開の面白さに再び圧倒された。
脚本・水木洋子は成瀬巳喜男の「浮雲」「おとうと」
今井正監督「キクとイサム」小林正樹「怪談」と
日本映画の黄金時代の名作を手掛けた名脚本家
女性ならではの視点で此の”婚期”と言うシリアス素材を
面白くも鋭く描いている。
”婚期”と言うものが食品の鮮度の様な扱いを
されていた時代。
30歳近く40歳を越えた未婚女性の焦りは
ヒステリーとなり周りの家族を巻き込んで
凄まじいドラマと成って行く。
主役はその婚期を逃した姉妹(若尾文子と野添ひとみ)を
所謂”こじゅうと”に持つ嫁(京マチ子)
その夫(船越英一郎)に、先に嫁いでいた姉(高峰三枝子)が
絡み、何処までが本気か悪戯か嫁いびりか
それぞれが生き残りを賭けたファミリー内バトル。
それに夫・船越英一郎の女癖の悪さで愛人2人まで。
脚本・水木洋子の台詞を滑舌よく話す名女優の
テンポの速さが此の映画の魅力。
それを又引っ掻き回す女中(今はお手伝いさん)の
北林谷栄のオトボケぶりが圧巻で
観る者はもう笑い転げるしかない。
大映の重喜劇としては川島雄三の傑作「しとやかな獣」が有るが
此の家族構成、テンポは、後に向田邦子のTVドラマ「阿修羅のごとく」に
繋がると思ったのは私だけか?

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