2024年3月7日木曜日

「新・座頭市Ⅲ」第24話「おてんとさん」
とかく素行が悪いと生前評判の悪かった勝新太郎だが
事、仕事つまり作品に関しては、至極真面目。
絶えず奥村利夫として脚本も書き、勝新太郎として監督もした。
その直向きな姿勢が、此の作品には強く出ている。
何十本も盲目の役を演じているうちに
その辛さが身に付いたのだろうか
此の物語は盲人が年に一度祭礼の日に霊山の頂上で
ご来光を拝めれば目が開くという噂を信じて
盲人たちが、その山めがけて登ってくるのを
悪いヤクザが利用し、ご禁制の砂金を掘らせる。
それに気づいた座頭市は反抗するが
老人が連れた孫娘を人質にされ仕込み杖を奪われ
なす術もなくタコ部屋に入れられ砂金掘り
しかし、そのヤクザの情婦・太地貴和子の手引きで
仕込み杖を手に、老人と孫娘と共に山を登る。
追手を斬っている内に老人と孫娘は殺され
間に合ったはずのご来光を浴びても一の目は開かない。
おてんとさん、そりゃあんまりだ・・・と
太陽に向かって、慟哭する座頭市。
こんな勝新は初めてみた、彼は本気だったのだ。
シリーズ自体は45分の間に居合で悪人を何人殺せるかの
痛快時代劇だったが、その途中で勝新は盲人の心を
自分の中に取り入れた。
目さえ見えるようになれば何でもすると。
上の写真は目の描かれた手拭いを巻くと
目が見えるように成るに騙されている。
大きな目はデヴィッド・ボウイの最後のPVダークスターを
思い出させて悲しい。
柱に立ったまま突き刺された太地貴和子の死骸が哀れ
そういえば彼女もそして勝新も死んだんだなあ。




 

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