「新・座頭市Ⅲ」第24話「おてんとさん」
とかく素行が悪いと生前評判の悪かった勝新太郎だが
事、仕事つまり作品に関しては、至極真面目。
絶えず奥村利夫として脚本も書き、勝新太郎として監督もした。
その直向きな姿勢が、此の作品には強く出ている。
何十本も盲目の役を演じているうちに
その辛さが身に付いたのだろうか
此の物語は盲人が年に一度祭礼の日に霊山の頂上で
ご来光を拝めれば目が開くという噂を信じて
盲人たちが、その山めがけて登ってくるのを
悪いヤクザが利用し、ご禁制の砂金を掘らせる。
それに気づいた座頭市は反抗するが
老人が連れた孫娘を人質にされ仕込み杖を奪われ
なす術もなくタコ部屋に入れられ砂金掘り
しかし、そのヤクザの情婦・太地貴和子の手引きで
仕込み杖を手に、老人と孫娘と共に山を登る。
追手を斬っている内に老人と孫娘は殺され
間に合ったはずのご来光を浴びても一の目は開かない。
おてんとさん、そりゃあんまりだ・・・と
太陽に向かって、慟哭する座頭市。
こんな勝新は初めてみた、彼は本気だったのだ。
シリーズ自体は45分の間に居合で悪人を何人殺せるかの
痛快時代劇だったが、その途中で勝新は盲人の心を
自分の中に取り入れた。
目さえ見えるようになれば何でもすると。
上の写真は目の描かれた手拭いを巻くと
目が見えるように成るに騙されている。
大きな目はデヴィッド・ボウイの最後のPVダークスターを
思い出させて悲しい。
柱に立ったまま突き刺された太地貴和子の死骸が哀れ
そういえば彼女もそして勝新も死んだんだなあ。
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