「座頭市逆手斬り」森一生監督作品
たった3年の間でシリーズ11作目となると
赤字だった会社の大映だから
製作費も削られ、キャスティングも脇役に大物を呼べない。
それでも監督の森一生と勝新太郎のコンビで
何とか劇場用らしい体裁を整えている。
当時、借金を抱えた藤山寛美を迎えて話は進む。
ヒロインは日米合作「あしやからの飛行」のシンデレラガール滝瑛子。
ガールと呼ぶには、とうが立っていたが・・・
とにかく大映女優のやりくりみたいな存在。
勝新に「不知火検校」という汚れの役を振った監督だけに
そして「薄桜記」という名作を撮っているだけに
凡作に終わらせない工夫の数々。
勝新も此の時すでに「悪名」「兵隊やくざ」と
レギュラーを並行して抱えていた筈なのに。
先ず、漁師村という設定に背景には伏線の様に魚網が張られ
案の定、座頭市には投網が掛けられ身動き取れない。
そして彼を仕留めようとするヤクザと雇われた素浪人の数が
いつもより多いのでハラハラさせられる。
終いには火縄銃まで持ち出されるが、その臭いで気付く。
此の作品で好きなのは座頭市が初めて海に向かう場面
盲目の人には海とは、どんなふうに感じるのだろう。
潮騒と匂いで、それに感動している座頭市を森一生は描いた。
何だか塩っぱい風だな・・・というセリフに泣けた。
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