2023年12月13日水曜日

 
池波正太郎時代劇スペシャル「雨の首ふり坂」:河毛俊作監督

2018年制作とあるから5年前の作品である。

江戸時代末期、治安の悪い街道筋の渡世人の話だ。

年老いても、未だその世界から抜けられないヤクザが

昔の自分に落とし前をつける話である。

だから池波正太郎の原作は読んでいないが、年代が前後し

登場人物も多いので脚本にするのも難しかったろうが

脚本は今や売れっ子の大森寿美男

主役の中村梅雀の若い時を別の俳優が演じているので

戸惑うが、それでも納得が行くのは、池波ならでは世界だから。

年老いた渡世人が出て来る話は長谷川伸原作の

山下耕作監督の傑作「関の矢太っぺ」に

月形龍之介が演じたヤクザ田毎才兵衛を思い出す。

斬ったはったに、多くのヤクザは殺されてしまうが

運よく生き残れた1人はカタギに成り

もう1人は未だに出入りに雇われる用心棒家業。

昔、相棒だったその2人が数十年の時を経て出会う筋書きだ。

此れを先の中村梅雀と大杉漣が演じた。

カタギになった一人は昔、傷を負い、

助けられた髪結いの女に子供を産ますが、

追手におわれ、女は殺され息子は行くへ知れず。

そして運命の悪戯か、その子供はヤクザになり、

互いに知らぬまま、父と子は刃を交える事に・・・。

此の息子を演じたのが三浦友和と山口百恵の息子・三浦貴大

百恵似のニヒルな面構えで、此の役にピッタリ。

それだったら父親は中村梅雀でなくて三浦友和だろうと

まあ友和は、いつまでも若いから老ヤクザは無理か(笑)

キャステイングなら泉谷しげるの渋い役が効いていて

ややこしい展開も飽きさせない。

同じ池波正太郎時代劇も鬼平と違い、ヴィデオカメラで

撮っているのか、映像の美しさに目を見張るものがある。

池波正太郎時代劇コレクションに追加しよう。

もう一つ追記すれば、

音楽にエゴラッピンを起用しているが

見事にスベっている。

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