井上昭(1923~2022)
病院のTVで「御家人斬九郎」をやっていた。
出来が良いので最後のスタッフを見たら脚本・金子成人に、監督に彼の名が。
いつか見た時代劇専門チャンネルの「殺すな」もそうだったし
だいぶ前に勘三郎が勘九郎時代に火野正平とやった
「森の石松」もそうだった。
彼は大映の生え抜き、と言っても"カツライス"こと
市川雷蔵と勝新太郎のシリーズに、3番が4番手位の監督で
自らもシリーズがマンネリにならない様に使われたと
言ってるが、どうしてどうして。
TVの座頭市物語で面白いと思う時はいつも彼の演出だった。
遅咲きの監督という訳ではないがTVに進出してから才能が輝き出した。
昨夜観た「御家人斬九郎」(居残り)でも主役の渡辺謙は兎も角、
吉原が舞台の廓の刃傷沙汰を、花魁道中は角もありなんと絢爛豪華に、
そしてその脇の女郎たちの悲哀を丁寧に描き、
またそれに応えた地味な女優を上手に演出していた。
調べたらカメラワークを森一生に、情念は溝口健二に学んだと。
大映は倒産したけど人材は育てていたんだな。
中村梅雀に本物の夫婦・柄本佑と安藤サクラで撮った「殺すな」が遺作。
駆け落ちした男女がひっそりと暮らす長屋を元亭主に見つけられる話で
中村玉緒がチョイ役で出ていたのは勝新と井上昭との義理か?
とても92歳とは思えない気合いの入った作品だった。
去年1月脳梗塞で亡くなっていたとは、合掌。
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