2023年8月4日金曜日

「テリー・ギリアムのドンキホーテ」(2018)
先のターセムの「落下の王国」が制作に4年かかっているなら
此方は1998年から制作を始めており、何度も頓挫して
途中主役のジョニー・デップに
ドンキホーテ役の俳優は3人も交代している。
その途中のメイキングは見応えのあるドキュメンタリーで
劇場公開されて私も観に行った。
それでもテリー・ギリアムの”ドンキホーテ”が観たいと
周りは彼に撮影再開を勧め、故ベルトルッチの製作者
ジェレミー・トーマスが資金を調達して完成に漕ぎ着けた。
さて、待ちにまったその完全版は?
主役だったジョニー・デップの代わりに性格俳優アダム・ドライバー
彼は鼻が大きくて”モンティ・パイソン”のエリック・アイドル似
テリー・ギリアムは好みの俳優を見つけたと言える。
彼が演じるのは売れっ子のCMディレクター。
スペインロケで撮っていたCMは”ドンキホーテ”をモチーフにしたもの。
その現場で撮影に息詰まった彼は昔、学生時代に撮った作品の
撮影現場が近いことを思い出し、ひとりオートバイを借りて
その村へと向かう。
果たして其処にはドンキホーテ役に起用した靴職人の爺さんが
本当に呆けて自分をドンキホーテと思い込んでいた・・・。
そしてCMディレクターをサンチョ・パンサと強引に連れて行く。
後は”ドンキホーテ”の物語そのままの妄想武勇伝が展開され
それは当に彼のファンなら堪らない”テリー・ギリアムの世界”。
ドンキホーテ役に「未来世紀ブラジル」の主役ジョナサン・プライス。
当初は「髪結の亭主」のジョン・ロシュフォールで英語の特訓までしたが
長引く撮影に病気で倒れ、途中でロバート・デュバルやジョン・ハートの名も出たが
結局ジョナサン・プライスが丁度良い具合に老けてピッタリとなった。
主役のCMディレクターが昔お姫様役に抜擢した酒場の娘には
最初のジョニー・デップの妻バネッサ・パラディーそっくりな
新人ジョアナ・ヒペイロを抜擢(私は最後までバネッサだと思っていた)
CMディレクターのクライアントの愛人に007のオルガ・キュレンコ!
もう、それらしいキャスティングとスペインの世界遺産みたいな僧院や
古城を好き勝手に使い放題は、ターセムの「落下の王国」と同じ
此方は仮装舞踏会や花火を打ち上げたりして更にスペクタクル。
多分、予算はテリー・ギリアムの使い放題だったのだろう。
本当に恵まれた監督で、結局、制作に25年かかった”ドンキホーテ”
当然、此の作品は私のテリー・ギリアム・コレクションの目玉となる。

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