2023年8月5日土曜日

[ジェロニモ」(1993):ウォルター・ヒル監督作品
町山智浩の”アメリカを知る”で4週続けて
ナバホ共和国の特集を組んでいて、そこで
コロナ禍で先住民が可成り亡くなったと。
その先住民族・最後のリーダー”ジェロニモ”を描いた作品。
”ジェロニモの反乱”として知られる此の事件に立ち会った
若い白人将校の回想で綴られる。
此の新米将校をブレイク前のマット・デイモンが初々しく演じる。
そしてジェロニモを演じたのがチェロキー族ウェス・ステュディ
その面構えは正しく本物、彼の風格が此の作品にリアリティを持たせた。
昔から冗談で「インディアン嘘つかない、白人嘘付き」の通り
その白人でも先住民に思いやりがあり”嘘つかない派”と
先住民を絶滅すべく”騙す派”の白人で此の作品は展開する。
その”嘘つかない派”を信じたジェロニモは目の前で仲間を虐殺され
政府に指定された居留地区から逃亡する。
それを追跡せよの命令は”騙す派”の白人騎兵隊隊長だが
”嘘つかない派”の中尉ジェイソン・パトリックとマット・デイモン
そして先住民追跡のプロのロバート・デュバルが彼らを追う。
脚本は「ビッグ・ウエンズデー」「地獄の黙示録」のジョン・ミリアス
”男の世界”を描かしたら日本人みたいな感情を持つ彼は
ロバート・デュバルの最期に全てを集約させた。
兎に角、土地を奪われ、次々と殺されてゆく先住民達に
立ち上がったジェロニモに
ニュー・アメリカン・シネマ以前の西部劇の断罪を感じる。
音楽のライ・クーダーとは「ロングライダース」以来
監督ウォルター・ヒルは相性が良いらしく
此の作品、ライ・クーダーらしいブルース性は無いが
先住民族がモンゴロイドである証明のように
モンゴル音楽との共通点を幾つか感じされるのは流石。
そして映像もアンバー・フィルターを通した過去の大西部が
”挽歌”の様で切ない。
私はウォルター・ヒル監督の最高傑作と思うが・・・。


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