落下の王国:ターセム・シン作品
冒頭にデヴィッド・フィンチャーとスパイク・リーのお墨付が出てくる。
構想26年、ロケーションは世界遺産13の建物、24か国でロケーション
製作に4年をかけたというが、
未だ劇映画2作目の新人監督に誰が金を出したんだろう?
それでもCMやプロモーションヴィデオの世界では
売れっ子の監督として名を馳せていた彼の
R.E.Mやスザンヌ・ヴェガの映像は私の記憶にまだ残っている。
その記憶の延長、モノクロの美しいスローモーションの
謎めいたカット編集で此の映画は始まる。
怪我をしたハリウッドのスタントマンが、
ルーマニアのオレンジ畑の木から落ちた少女と
病院で出会い、彼女にせがまれるまま、おとぎ話を聞かせる展開。
そして何時しか、そのお伽話が現実のものとなり2人は世界中を旅する事になる。
それはまさに奇想天外、インド人やらアフリカ人やらを
お供に世界中を跳び回るのだ。
主人公や此のお供達の衣装担当したのは
日本が誇るアートディレクター故・石岡瑛子。
登場人物それぞれをユニークな衣装でキャラクター付け。
世界の異端建築を前に、そのトータル・バランスは圧巻。
兎に角、映像を観ているだけで私はタメ息の連続。
ターセムはR.E.MのPVでも宗教をテーマにしていたが
此の作品ではトルコのメヴィレヴィー教団の旋回舞踏を始め
バリ島のケチャなど様々な儀式を取り込んで
少女の憧れる冒険活劇に花を添えている。
それは、まさに”ターセムと石岡瑛子の美の世界”。
此の後「インモータルズー神々の戦い」「白雪姫と鏡の女王」と
2人のコンビは続くが石岡瑛子が亡くなって、それは終わった。
0 件のコメント:
コメントを投稿