2022年8月21日日曜日

「折れた槍」(1954)
此の映画、つい最近観た西部劇「草原の野獣」に物語がよく似ている。
昔気質の父親と、その息子達の話だ。
彼方は息子2人だったが此方は息子4人
3人は先妻の子供、末っ子は先住民族とのハーフ。
「燃える平原児」と此のところ続けて先住民族との
ハーフの子供の悲劇の話だけれど。
此れも名優スペンサー・トレイシーが後添えに迎えた
先住民族の妻との間に生まれた息子だけを可愛がった挙句
異母兄弟の軋轢を描いてる。
その異母兄弟の長男が、まだ悪役俳優だった頃の
リチャード・ウイドマーク。
彼が、ずる賢く父親が築いた大牧場を乗っ取ろうとして
末っ子のロバート・ワーグナーを刑務所に入れてしまう。
脚本が捻ってあって、その末っ子が3年の刑期を終えて
出所してくるところから始まる。
父親は既に死んでおり長男は、そのまま金をやるから
他の土地へ行けと。
ここから話は過去に戻り、父親と兄3人の確執に
心を痛める先住民族とのハーフの末っ子が主人公。
結局、父親殺しは兄達の仕業と突き止め
インディアンの仕来り通り墓の前で槍を折って復讐を誓う。
まあ題名の由来は此処から来ている。
監督エドワード・ドミトルクはカナダ生まれながら
ハリウッドで社会派の監督として頭角を表したが
例の赤狩りでハリウッドを追われるも戻って逮捕されたが
その後、転向し生き残って此の様な作品を残した。
西部劇ならではスペクタクルなアクションシーンは流石
でも親族同士の殺し合いは観ていて気持ちの良いものではない。
それは赤狩り時代の自分の裏切りが影響しているのかも知れない。

1 件のコメント:

  1. 此の「折れた槍」でスペンサー・トレイシーの先住民の妻を演じているケイティ・フラド。ペキンパーの「ビリーザキッド21歳の生涯」でディランの”天国の扉”の音楽で夫を川辺で見送る妻を演じていた。「真昼の決闘」でゴールデングローブ助演女優賞。「マーロン・ブランドと「片目のジャック」ジョン・ヒューストンの「火山のもとで」とメキシコとハリウッド映画で活躍した大女優。此の映画では先住民役だが、潤んだ大きな瞳が物語の悲劇性を高めている。

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