渋谷シネマベーラの武満徹が音楽を担当した映画上映シリーズは
宇佐美にいる時からスケジュールをチェックしていた。
昔から彼の映画音楽はサントラLPを全部持っている。
特に成島東一郎の「青幻記・遠い日の母は美しく」は
彼の作品の中でも一番素晴らしい出来で
此の曲をかけると宇佐美の海が沖永良部のそれに変わる。
「あこがれ」(1966) : 恩地日出夫監督
此れは見逃していたので今日、病み上がりで
フラフラする身体に迷路の様な新しい渋谷駅に戸惑いながら
坂の上の初めて行く映画館へ。
アイドルの内藤洋子ファンだったと思しき
初老のおじさん達がロビーに集まりムサ苦しいのなんの。
でも映画が始まるや、内藤洋子の少女時代の子役と
その父親役・小沢昭一のリアリズムに
脚本・山田太一と監督・恩地日出夫に引き込まれる。
そして成長した内藤洋子に現代のアイドルとは
段違いの魅力を感じる。
私ごとだが昔L.A.のハリウッドボールに
ランディ・クロフォードのライブに行ったとき
内藤洋子そっくりの女の子が近くにいて
それを呼んでいた美人のお母さんが実は喜多島修と結婚した
内藤洋子本人と気付くまで時間はかからなかった。
話は映画に戻るが、施設育ちの子供同士が
成長して愛し合うのが此の物語
内藤の相手役に田村正和の弟の亮。
此のカップルは、どちらも清々しくてピッタリだが
芝居は周りの新珠三千代や沢村貞子に賀原夏子に
芸達者な加東大介と比べると・・・
なんて野暮なことは言わない、主役は此れで良いのだ。
カップル2人が草原や海岸を走るだけで、もう青春映画。
それで武満徹の音楽だが二人の純愛風のシーンに使われたのは
その前、 中村登監督の「二十一歳の父」(1964)に使われた
シューマンのピアノ曲”初めての悲しみ”
此の曲、武満徹は好きだった様で何度も編曲を変えて登場する。
曲の持つ清廉なイメージが二人の純愛を表現している。
此の映画の鍵は新珠三千代演じる養護施設の先生だ。
彼女の想いが二人を引き離したり、結びつけたりする。
その女心を見事に演じた新珠三千代がとても良い。
此の新珠三千代と内藤洋子コンビはTVドラマ「氷点」でまた人気を呼んだ。
映画のクライマックスは田村亮と乙羽信子の母子の別れ
此れの恩地日出夫演出は前振りも丁寧で、ググッと泣かされる。
帰りしな男子トイレで涙を拭いているオジさんは私だけでは無かった。
此れも私ごとだが高校時代、田舎の映画館で観て興奮した
峰岸徹と白川由美の「非情の青春」(1962)が
恩地日出夫監督だったのを今日知った。
高校生と女教師の恋愛には憧れたなあ
映画は、調べてアレコレ追いかけるも楽しい。

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