森一生(1911~1989)
もう何度も再放映している勝新の「新・座頭市」シリーズ
勝新自ら監督をしているやつは、相変わらずカメラや編集が
斬新だが、ワンマンだけに強引な展開に途中で、なんだかな?
そのシリーズで安心して観られるのは監督に森一生の名があった時
ところで、昔の大映の社長・永田雅一は勝新よりも
市川雷蔵の方が客が呼べると肩入れしていた。
そして長谷川一夫と同じ”白塗り”二枚目だった。
此の監督が森一生、時代劇ファンなら必ずBEST-10に入れる
此の名作は忠臣蔵外伝の悲劇
私は高校生の頃観てとても感動した。
その脇役をさせれた事に勝新が発奮したか
次に選んだのが「不知火検校」つまり極悪非道のピカレスク
市井の按摩から幕府お抱えの検校にまで上り詰める
盲目の悪党である。
此れを勝新は”白塗り”を捨て、目の周りはドス黒い
汚れ役に変身して観客をおどかせた。
興行的にはイマイチだったが映画としての出来は良く
勝新は自分の方向性を掴み”座頭市”となった訳である。
此の話は勝新ではなく森一生。
彼は戦前に伊藤大輔などの助監督を経て
戦後は大映で黒澤明と同期
黒澤明の脚本で撮った作品もある。
だから世界のクロサワを怒らせた勝新も
流石に彼には素直に従って、座頭市に徹していて面白い。
ところで監督・森一生のフィルモグラフィーには
「藤十郎の恋」「朱雀門」の名作に
雷蔵で「新・忍びの者」「ある殺し屋」シリーズ
勝新の「座頭市」「悪名」シリーズとカメラマン宮川一夫と組んで
完成度の高い娯楽作品を作っている。
大映が倒産した後も、勝プロでレベルの高いTV時代劇を
作り続けていた此の監督のことは、もっと評価されてしかるべきだ。
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