とんかつ大将 (1952) :川島雄三
先日の「暖簾」に続き川島作品を観る。
1944年に入社依頼、松竹大船で23本の作品を撮った
彼の中で、此れは真ん中くらいのコメディである。
原作の冨田常雄は「姿三四郎」で有名。
此の作品でも主人公は熱血漢で柔道の心得があるが町医者。
良家の育ちだが、貧乏長屋に暮らし”赤ひげ”の様に
長屋の人々の面倒を見ている。此れを佐野周二が演じる。
彼が、あのサンデー・モーニングショーの司会
関口宏の父親だという事を知る人も少くなったろう。
話は長屋の近くの病院に津島恵子扮する若い女医が居て
彼女は悪徳弁護士に唆されて
彼女の持つ土地の長屋を潰し、総合病院を建てようとする。
結局、弁護士は土地をキャバレーにするつもりなのだが
その計画を主人公は見破り、長屋の人々と反対してハッピーエンド。
此の映画の魅力は戦後間もない下町の人々の描写。
お酉様にクリスマスの情景・・・。
三井弘次や坂本武と小津作品の常連たちが
それを生き生きと演じ又、角梨枝子という美貌の女優が
とんかつ屋の女将を演じ、女医の津島恵子と主人公を張り合う
その色気と演技合戦は見もの。
それに当時・天才子役と言われた設楽幸嗣が
達者な演技を見せる。
とにかく懐かしい風景に庶民の暮らしが描かれている。
因みに監督・川島雄三は、とんかつが大好きだったそうだ。
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