2021年11月20日土曜日

東宝時代の川島雄三を2晩続けて観た。
川島は松竹大船で先日の「とんかつ大将」を含め
コメディ作品を23本撮った後、日活へ移籍
文芸作品を多く手がけ名作「幕末太陽伝」を置き土産に
東宝へ又もや移籍した。
東宝は同系会社ながら東京映画、宝塚映画と有り
此れは本社の作品である。
「接吻泥棒」(1960)
原作は、あの石原慎太郎。
石原は映画好きで映画の脚本を含め映画用のシノプスを
たくさん此の頃は書いていて
此の作品は女好きなボクサーと、そのスポンサーの娘の
ラブ・コメディー。
此れを脚本にしているのは意外にも松山善三。
主演のボクサーの宝田明がハマり役。
若い宝田はボクサー役だから体も締まっていて
女物のネグリジェまで着せられる。
当時”アンパンの臍”と言われたファニーフェイスの
団玲子がその恋人役だがミッション系の女学院の生徒にしては
少しトウが経ちすぎているが
宝田の愛人たち、新珠三千代、草笛光子、北あけみに比べ
まさか!の意外性は確かに有る。
川島が当時の日本に無かった洒落たフランス映画の様な
コメディを狙ったのだろう。
冒頭とラストに狂言回しとして
若い石原慎太郎が出て来るのも、ご愛敬。

「縞の背広の親分衆」(1961)
川島雄三は此の頃、年3本のペースで作品を撮っていて
先の「接吻泥棒」の後、尊敬する成瀬巳喜男と共同脚本監督で
「夜の流れ」、そして「赤坂の姉妹・夜の肌」の次が此の作品。
東宝の看板役者の森繁久弥と”幕末”のフランキー堺を組み合わせ
淡島千景、団令子、藤間紫の女優たち
有島一郎に西村晃と芸達者を集めて
先に森繁がやった”人生劇場"(1958)の吉良常役のパロディを
狙った様だが,、冒頭から川島演出は”滑りっぱなし”
笑わそうとしているのに面白くないのだ。
時代錯誤で古いヤクザが現代に生きにくいのは当たり前
「グラマ島の誘惑」(1959)で使ったスラプスティックの技法を
しつこく使えば使う程、観る方はシラケてしまう。
結局、川島雄三の持つ、癖のある喜劇の才能は
”社長シリーズ””駅前シリーズ”の東宝映画では
生かされなかった様に私には思える。
それは当人も気付いていた様で、翌年に大映に又移籍して
「雁の寺」「しとやかな獣」の傑作を作る。















 

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