2021年9月20日月曜日

ジャン=ポール・ベルモンド映画#8

いぬ Le Doulos (1962) : 音楽 Paul Misraki


此の作品も久しぶりに再見、したがって感想は長くなりそう。

監督はジャン=ピエール・メルヴィル、フィルム・ノワールの親分格。

ゴダールの「勝手にしやがれ」に、彼は俳優として出演しているし

「モラン神父」ではベルモンドを何と神父の役にしている。

此の作品はギャング社会の信頼と裏切りがテーマ。

その隠語で帽子を被った奴と呼ばれる警察への密告者を

日本語に訳して邦題はいぬという訳。

「冒険者たち」の名優、セルジュ・レジアニとの共演

物語は、その彼を裏切る男としてベルモンドが登場

しかし、それは・・・。

全編、曇り空で撮られたかのようなモノクロ映像に

ポール・ミスラキ作曲のクールなフレンチ・モダンジャズが流れる。

もう、それは紛れもなくフィルム・ノワールの

ムードそのものでワクワクする。

他にも「5月のミル」のミシェル・ピッコリや「柔らかい肌」の

ジャン・ドサイと懐かしい顔ぶれが続々。

(ここからネタバレ注意)

結局、ベルモンドは"いぬでは無く友達の

レジアニを助けるために警察を利用して

情報を流し彼を救う事だったと後で分かる。

つまり本当の親友だったと言うわけ。

しかし彼に裏技られたと思った彼は留置所で出会った

出所まじかの男に彼の殺害を依頼していて

果たして、それは止める事が出来るか?という

最後までハラハラさせる展開。

音楽のポール・ミスラキは監督メルヴィルと同じユダヤ系

戦時中は地下に潜りレジスタンス活動をしていたのも同じ。

その裏切りの映画はメルヴィルの「影の軍隊」に繋がる。

ハッピーエンドに見せて、苦い結末ははフィルム・ノワールだから。

誰もがそのジャンルの、いや

フランス映画の傑作に上げる此の作品、是非観られると良い。


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