ガス燈(1944)
私はイングリット・バーグマンの大ファンで
彼女の出演作品は全てDVDに焼いて持っていた筈だが
何故かアカデミー主演女優賞を得た此の作品を見逃していた。
監督はジョージ・キューカー。
彼は元ブロードウェイの役者兼演出家。その的確な演技指導が評価され、
映画監督としてハリウッドに招かれている。
キャサリン・ペップバーン、ジュディ・ガーランドにグレタ・ガルボ、
オードリ ー・ヘプバーンそして此のバーグマンと
俳優に演技開眼させアカデミー主演女優賞を取らせるのでも有名。
此の作品はサスペンス映画。
舞台劇の映画化だから良く脚本が練られていて、
巧みな伏線や、どんでん返しに最後まで観客の緊張は緩まない。
それでも当時29歳のバーグマンの女盛りの美しさには
何度も、ため息が出てしまう。
そして、ただ美しいだけでなく過酷な運命に翻弄され
気が狂う寸前まで追い詰められる彼女の素晴らしい演技には
アカデミーならずと誰もが称賛を惜しまないだろう。
此の映画の作られたのは太平洋戦争真っ只中
、物語の舞台になる英国ロンドンには、おそらくロケしていない。
公園に建物まで作り込んだ巨大なオープンセットに、
ひと時代前のオペラ歌手の大邸宅内部の贅沢な装飾、
そして題名の”ガス燈”の繊細な美術と照明。
もう、どれを取り上げても圧倒的な素晴らしさ!
当時、こんな凄い映画を作る余裕のある国に対して日本は、
焼け野原の中、竹槍で本土決戦の準備をしていたんだから、全く・・・。
私と同じ様に、まだ観ていない方のためにストーリィは
明かさないが、とにかく面白過ぎるくらい面白い。
この後、ヒッチコック作品の「白い恐怖」「汚名」と
彼女のスリラー作品は有るが此れが最高の演技だろう。
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