2020年5月16日土曜日

観ていた様で観てなかったビリー・ワイルダー監督2本
深夜の告白 (1944)
此の作品は彼が監督になって3本目。
興味深いのは脚本が、探偵小説かとして有名な
あのレイモンド・チャンドラーとの共作である事。
ジェームス・ケインの原作を気に入った若いビリーが
作家としてはベテランだが脚本家としては新人のチャントラーと
揉めながら書いたというシナリオが面白い。
主人公は保険の外交員。これをフレッド・マクマレイが演じる。
彼は後年、海外ドラマ「パパ大好き」の父親役で有名。
その彼が再契約に訪れた家の妻に、色仕掛けで
夫殺しの保険金殺人を持ちかけられる。
此の妻をバーバラ・スタンウィックが演じ
その巧妙な誘惑の仕方は正に”ファム・ファタール”
人の良い外交員が運命を狂わされていく。
この辺りはハードボイルド作家のチャンドラーの台詞が効いて
此れにエドワード・G・ロビンソンの会社の上役が絡み
彼とのやりとりはワイルダー作品の名コンビ、
ジャック・レモンとウォルター・マッソーを思わせて面白い。
どんどん深みにハマって行くサスペンスに
母国ドイツ表現主義に影響されたモノクロの映像が
フィルム・ノワールのムードを盛り上げる。
あのウディ・アレンが此の映画を好きだというのも頷ける。
それから11年後にマリリン・モンローを使っての
「七年目の浮気」(1955)
これは舞台劇の映画化
ジョージ・アクセルロッドの戯曲をビリーは共同で脚本に。
舞台でも主役を演じたトム・イーウェルが映画でも
モンローと絡む。
有名な地下鉄から吹き上げる風でモンローのスカートが
めくれる場面は有名で此れまで様々な媒体で観たから
特別、刺激的ては無いが、当時は浮気=不倫を勧める内容に
米国映倫がカットを入れたらしく
今の観客には妄想ばかりしている主人公同様
なんともモドカしい展開が辛い。
まあ、絶頂期のモンローに監督を始めとして
スタッフ全員が夢中になっていて
4年後に「お熱いのがお好き」で再び彼女を使ったワイルダーは
彼女を、我儘だ何だと文句を言いながら好きだったんだな(笑)









0 件のコメント:

コメントを投稿