2020年2月18日火曜日

コルラ・バンデットKorla Pandit (1921~1998)
この怪しげな眼付きのインド人は
米国のTV普及時代に活躍した"エキゾチカ系オルガニスト。
でも、実はれっきとしたセントルイス生まれの
今でいうアフリカ系のアメリカ人だったのが死後バレた。
母親がフランス系だった為、肌の色は薄いが、
それでも人種差別の強い時代、まずは米国ユニオンに入る為、
彼はメキシコ人Juan Rolandoを名乗り合格。
しかし更にオルガニストとして成功するには何かビジュアル・インパクトをと
何と当時ミュージシャンでは珍しかったインド人になりすました。
時のエキゾチック・サウンドのブームに乗り
ミステリアス・サウンドを弾く"謎のインド人オルガニストとして
アレヨアレヨと言うまにTV番組のレギュラーまで持つ
スタートなってしまった。
そうなると、もう後戻りは出来ない。
成り行きでニューデリー生まれという、
デタラメの生い立ちまでデッチ上げるしかなかった。
話は飛ぶが、戦後日本の国民的ヒーロー・力道山。
実は彼、朝鮮半島北部の生まれ(今の北朝鮮)
本名は金 信洛 김신락。
戦前に朝鮮相撲の力士だったが、地方興行で
現地に来ていた日本の親方にスカウトされ、妻や子を残し、
単身、海峡を渡る。
持ち前の実力で角界でも、かなり番付も上がったが
人種差別や彼の素行を咎められ、部屋から破門される前に
自ら髷を切ってプロレスに転向した。
それから先は、ある程度の歳の日本人なら誰もが知っている
力道山物語。
だが"在日"という過去を隠すため、長崎県大村に日本人・百田光浩として
先祖の墓まで建てたのは、インド人コルラと同じだ。
まあ米国人にとってコルラは、それほどの人気が有った訳では無いし、
アメリカの国土は広いから故郷まて辿って
彼の嘘を見抜くことは出来なかったのだろう。
人気TV番組「逃亡者」のリチャード・キンブルだって
ドラマとは言え当時4年間も全米を逃げ回れた訳だから。
喋ると色々な嘘がバレるから、彼は殆ど話す事も無く、
ひたすらカメラを見つめオルガンを弾き、
コルラ・パンディットとして生涯を終えた。
その人生を映画にするなら喜劇になりそうだが、
人種差別が酷かった時代に彼が仕方無く選んだ道とは言え、
何処か間抜けで哀しい。
どちらにしても、彼の強いカメラ目線で見られたら
催眠術をかけられた様に、私も目が渦を巻いて
"ハイ、貴方は本物のインド人です"となってしまう(笑)



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