CINE JAZZ #27
Taxi driver (1976) :Bernard Herrmann
此の作品はマーチン・スコセッシ監督の出世作にして
カンヌ映画祭のパルムドール賞、そして
ロバート・デ・ニーロの狂気の演技が注目されたもの。
しかし音楽のバーナード・ハーマンの遺作であることは
意外に知られて居ない。
映画音楽デビューは、あの「市民ケーン」
ヒッチコックの「ハリーの災難」「めまい」「北北西に進路を取れ」と
スリラー映画の殆んどに、彼が付けたスコアの
素晴らしさは、映画マニアなら知っているが
此のマーチン・スコセッシは、早くからクロサワ、今村昌平と
日本映画から世界中の名画を研究し尽くした”映画オタク”
さらにプレスリーからザ・バンド、ストーンズまでの記録映画を
自ら撮るくらい音楽に精通している監督だから
此の「タクシー・ドライバー」にバーナード・ハーマンを
起用したのは偶然ではない。
デ・ニーロの狂気に、ヒッチコックのサスペンス要素を
入れたかったのだろう。
しかし、バーナードは此れにN.Y.のマンホールから立ち込める
蒸気の情景や、主人公のやりようのない孤独を表現するのに
此の素晴らしいジャズ・スコアを付けた。
此の哀愁こそが、此の作品が映画史上に残る傑作となった鍵だ
と私は思うのだ。
バーナードは此のスタジオ録音に立ち会い
その12時間後に亡くなったという。
なんと凄い才能、素晴らしい人生かな。
これで私のCINE JAZZ特集も終わり
長期購読有難うございました。

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