ヒットマンズ・レクイエム (2008)
此の映画は「スリービルボード」(2017)でアカデミー賞や各国の賞を
総なめにした監督マーティン・マクドナーの作品で有る。
彼は演出家と同時に脚本家でも有るので
米国のポール・ハギスと同様、ストーリィーが捻って有るのが特徴。
原題は”In Bruges”、ブルッヘはベルギーの古都
そこに二人のヒツトマンがやってくる。
ヒツトマンといえば殺し屋、上からの命令で派遣されたのだ。
彼らは何で此の街に来させられたか分からない。
此の二人を演じるのがコリン・ファレルとブレダン・グリーソン
どう見ても殺し屋には見えない二人。
それもそのはずコリンは最初の仕事に牧師殺しだったが
子供を巻き込んで殺してしまう。
それで英国を追われベルギーに逃亡させられたという訳。
此の趣味趣向の違う二人のブルッヘでのやり取りが面白い。
片や中世の町並みを残すブルッヘに魅せられていると思えば
片方は、其れらに興味はなく女の子の尻を追いかけているだけ。
そのユーモアとリアリティ溢れる会話は
まるでベケットの戯曲”ゴドーを待ちながら”の様。
その面白い脚本に答える様な素晴らしい演技を見せる
コリン・ファレルとブレダン・グリーソンの二人。
此の二人の人間臭い演技がなければ
此の映画は成り立たなかったかもしれない。
つくづくマキノ正博の言った名画の三原則。
映画は1にスジ(脚本)2にヌケ(映像)3にシバイ(役者)
それが此の映画には全て揃っているのだ。
そう、中世の面影を残すブルッヘの街の光と陰を見事に捉えた
カメラ(アイジル・ブリルド)が美しい!
後半、あの名優レイフ・ファインズが殺し屋の元締めとして
現地に来てから話は急展開する。
まあ、これから先は観てない人のために
ネタバレになるので書かないが
中世のヒエロニムス・ボスの地獄絵や小人まで登場する
監督マーティン・マクドナーの豊かな才能に驚かされる。
可能なら彼の作品を全部見て観たい!
0 件のコメント:
コメントを投稿