公開年度は逆だが2夜連続で面白い
フランス製アクション映画を観た。
「バレッツ」(2010)
”バレッツ”とは22発の弾丸を浴びても死ななかった
フランス・マフィアの男の名前で"不滅"を意味するらしい。
それをモデルにマルセーユを舞台にした
久しぶりのフィルム・ノワール。
ジャン・ギャバンかリノ・ヴァンチェラの役を
ジャン・レノが貫禄たっぷりに演じている。
稼業から自分では足を洗ったつもりの老ヤクザが
親友と思っていた仲間から裏切られ、映画の冒頭で
まさに22発の弾丸を浴びる。
それもアイツは親友だからと報復はしなかったが
可愛がっていた子分を更にズタズタタにされ
遂に堪忍袋の緒が切れる。
此れは殆ど東映の任侠映画のパターン。
主人公は満身創痍ながら次々と
卑怯な手を打つてくる旧友に孤軍奮闘で立ち向かう。
興味深いのは現代の港町マルセイユらしく
アルジェリアやイスラム系のギャングが登場して
悪役キャラクターが変化に富んでいるところ。
アメリカの、その手のものには無い面白さだ。
「スズメバチ」(2002)
此の作品は、かなり前から面白いと聞いていたが見逃していた。
監督は此れがデビュー作のフローラン・エミリオ・シリ。
冒頭、TVに映ったスズメバチのアップから始まり
3つのエピソードをモンタージュ。
それが大事件へと展開するのは監督自ら書いたシナリオ。
それが実に良く出来ている。
東欧の少女売春組織のマフィアの親分が警察に捉えられ
ドイツからフランスへ受け渡され
凶悪犯人ゆえ装甲車の移動にもかかわらず
軍隊並みに訓練された東欧マフィアに襲われる。
その数は半端では無く、生き残ったのが
女性警察官のリーダーと、わずか3人の警官。
彼らは、そこには警備員が居るはずと
近くの大きな倉庫会社へ逃げ込むが
なんと、その倉庫には先客が・・・。
若者たちがパソコンを盗みに入っていたのだ。
警備員2人を縛り上げ、
電線を切って携帯も”圏外”になる様に仕掛けていた。
果たして彼らの運命はどうなる?
冒頭の3つのエピソードに登場した
女性警察官、パソコン泥棒、警備員が一致団結
雲霞のごとく攻め込んでくる東欧マフィア軍隊と戦うのだ。
まあ、それぞれのキャラクターが見事に描き分けられ
エモーションの高め方が上手。
とても此れがデビューとは、とても思えない。