2022年5月8日日曜日

「現代任侠史」(1974)
「日本侠客伝」「昭和残侠伝」シリーズで
東映を支えてきた高倉健の、いわゆる任侠映画も
観客動員に翳りをみせ、その年の正月に公開された
実録もの「仁義なき戦い」が大ヒットしたのを受け
その”テコ入れ”にクロサワ映画の脚本家・橋本忍を起用
キャステイングも恋人役に梶芽衣子
周りに安藤昇、成田三樹夫、小池朝雄、辰巳柳太郎と
存在感や演技力のある役者を配した。
話もタイトル通り、いつもの
明治大正昭和初期ではなく当時の現代。
だから冒頭、東映マークの岩に荒波が打ち付ける
お馴染みの映像にジェット機の爆音が重なり
我らが健さんはなんと、ジャンボのタラップを
日本刀を持って降りて来るという意表をつく出だし。
しかし、何やら新しい雰囲気なのは、そこまでで
健さんは元ヤクザの大幹部だが
今は足を洗って、銀座裏通りの寿司屋というのは
前にも何度か有ったシチュエーション。
カタギになったものの、兄弟分が理不尽に殺されて
我慢に我慢を重ねた挙句、最後に”おとし前”を
つけに殴り込むというパターン。
まあ、それはそれで手慣れた橋本忍の展開は無駄がなく
「仁義なき・・・」を意識した現代性も織り込んで流石。
監督の石井輝男は健さんとは「網走番外地」シリーズで
コンビを組んでいただけに健さんの魅力も
たっぷり織り込んで、何処を切っても金太郎飴ならぬ
寡黙で不器用な格好良い健さん。
ただ少し此の監督・石井輝男アブノーマルだから
意味なくヤクザの情婦にシャブを打たせたり
健さんの刺青が、いつもより血みどろで
土佐の絵金の様といった具合。
そして当時、女盛りだった梶芽衣子は
”さそり”の様にモダンで
またラストの着物姿は”修羅雪姫”
「お願い行かないで!」と懇願する彼女に
たったヒト言「幸せだったぜ!」と捨て台詞を
残して立ち去る健さんには、きっと誰もが痺れるだろう。
此の後、もう東映に自分の居る場所はないとフリーになり
勝新と組んでロベール・アンリコの「冒険者たち」の
リメイク「無宿・やどなし」を作ったが
此の時の梶芽衣子の美しさを覚えていたか?
彼女をジョアンナ・シムカスにして居る。

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