2016年1月2日土曜日

画集・物語なき時代の人間像
方力釣(ファン・リジュン)
天安門事件以降、中国の若者の挫折感をテーマにしたアートを
”シニカル・リアリズム”と云うのだそうだが
当時、その旗手に成ったのが此の画家・方力釣(ファン・リジュン)。
自分がモデルと思われるスキン・ヘッド男の
不気味な表情は、そのまま当時の中国が
かかえる不安な状況を表現し、世界中で脚光を浴びた。
その頃、私も虎ノ門の画廊の入口に貼られたポスターに惹かれ
中で観た此れ等の巨大な作品に圧倒されたのを思い出す。
泳ぐ男は、同じテーマを扱う英国のデヴィッド・フォックニーとは
又違うアイロニーが感じられる。
その後、売れっ子になった彼は水に溺れるどころか
中国バブルの波に乗り、富裕層に組み込まれ
4つのレストランを経営するビジネスマンとなり
最近では映画にまで出演しているそうな。
そんな彼の今が作品に反映されているのが興味深い。

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