007スペクター (2015)
007の新作「スペクター」素晴らしい出来です。
監督サム・メンデスの演出力、半端無いです。
ロジャー・ムーア・シリーズ以来
007はオープニングに凝るスタイルですが、今回は
最初からクライマックスを持って来たんじゃないか?
と思える位の迫力です。
まず9.11N.Y.テロを思い出させるビルの崩落に
巻き込まれるボンドのサスペンスに始まり
メキシコシティの祭りに集う何100万の観衆の上空で
ヘリの中での激しいアクション・シーンに、ド肝抜かれます。
(全く合成と感じられない技術の高さに圧倒されます)
もうネタバレ承知で書いちゃいますが
今回は新ボンド・シリーズの完結編として
此れまでの「カジノロワイヤル」「慰めの報酬」
そして「スカイフォール」のエピソードを全部絡めて居ます。
今までボンドが追い込まれた危機と悲劇の総てが
”スペクター”のボス(怪優クリストフ・ヴォルツ)
が仕掛けたものだったと云う展開。
ボンドは少年時代、彼と一緒に
兄弟として育てられていたという意外性。
此の二人の愛と憎しみの感情の縺れ具合がコアで
あのベネチアで殺された、ボンドが愛した女
ヴェスパーまで引き出し
嫌がおうにもボンドの怒り憎しみを誘う。
エモーションとは、観客の感情移入を指すものだが
その”ツボ”を監督サム・メンデスはピタリと押している。
主役のダニエル・クレイグが感情を殺して行動する程
観客の怒りは頂点に達してしまうのだ。
その怒りを治めるカタルシス、構成、演出の冴え。
今回のボンド・ガールは「マレーナ」のモニカ・ベルッチ
歴代のボンド・ガール最年長だそうだが
身尻に皺が有っても,色気はムンムンで、そそられる事。
そして私が悪女列伝に取り上げた若手実力派女優の
その存在感は此れまでのボンド・ガールに無い深みを感じさせる。
そして悪役に,もう一人
TV「シャーロツク」でモリアーティ役を演じた
アンドリュー・スコット。
コイツが憎々しい。
それでもボンドの頭に錐を刺し拷問するフランツ役
クリストフ・ヴォルツの怪演には敵わない。
こう云うギリギリの心理描写が、映画的スペクタクル度満点の
大ロング爆発シーンとのコントラストを効かせるのだ。
映画の面白さを知りつくしたサム・メンデスの演出に
観客は期待を裏切られる事無くエンディングを迎え
わざわざ映画館に足を運んで良かったと満足するのだ。
どうやら007は此の作品で最高峰に到達した様な気がする。
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