2015年5月25日月曜日

龍三と七人の子分たち(2015)
北野武の新作である。
映画自体は此の処、マンネリ化しているから
期待はしていなかったが、音楽が鈴木慶一君だから
どんな音楽が付くのか興味があった。
果たして音楽は温かい音色で此の年寄りヤクザの痛快な
リベンジ・ドラマに哀愁が漂う良い出来だった。
でも作品の完成度は、わざわざ映画館まで
足を運ぶ様なものでは無いな。
それでも公開21日目で100万人を突破したと云うから
一応、当たったという事だろう。
結構TVでも宣伝していたので物語は皆知っていると思うが
「金無し,先無し、怖いモノ無し」の引退した老人ヤクザが
今の法律をかい潜った現代ヤクザに戦いを挑むもの。
とにかく銃刀法違反も何も滅茶苦茶で
やたら拳銃をブッ放つ、スティーブ・マックーンもどきの
”内田裕也”のソックリさんや
刀の入った仕込み杖をつく、ヨボヨボ座頭市と
たけしのコントを、そのまま物語に組み込んだ脚本は笑えるが
緻密さに欠け、ちょいと、たけし君”急ぎ働き”じゃないか?と。
それでも私のブログの”悪役列伝”から選んだ様な
老優キャスティングは楽しめる。
でも主役に格好良すぎる藤竜也を持って来たのが誤算。
順当に近藤正臣を主役にしたら又リアルなドラマに成ったろう。
高齢俳優は完成するまで生きていて貰わなくてはならないから
撮影に、リスクも有ったろうが。
あの憎たらしい中尾彬を早めに殺し”らくだの馬さん”に
してしまった、たけしのセンスは悪く無い。
対して現代ヤクザのキャスティングは
さすが「アウトレイジ」シリーズで選び練られた
若い悪役ばかりだから、皆ハマッていて面白い。
それでも、もう少し丁寧に作れば良く成る素材だけに
安易に纏めたのが惜しまれる作品だ。

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