若山富三郎(1929~1992)
大楠道代を調べていたら”安田道代”時代の彼との関係が
否が応にも出て来るので此の際、ついでに。
彼は周知の通り勝新太郎の実兄だ。
此の兄弟は良く似ていて
若い頃の新東宝の「人形左七捕物帳」など
同じ頃、白塗りで”化け猫”シリーズ等をやっていた
勝新と見分けがつかない。
勝新が座頭市で”汚れ役”になって漸く差が出た。
出たのは風貌だけでなく人気も弟に負けてしまったが
仲の良い弟は、兄を大映に呼んだ。
そこで自分が先にスカウトした安田道代を
兄に紹介し、2人がデキてしまったのは偶然だろう。
それが理由か、いや前から若山は妻と巧く行ってなかったのか
離婚し、17も歳の離れた安田との関係は長く続いた。
大映では「城健三郎」と芸名を変え
「忍びの者」や「座頭市」で渋い脇役を演じた彼も
弟の七光りは居心地が悪かったのか元の東映に戻り
山下耕作の名作「総長賭博」で鶴田浩二の脇役ながら
その演技力を高く評価され
藤純子の「緋牡丹博徒」シリーズの
”チョビ髭の熊”親分がスピンオフ
シリーズとなったのを切っ掛けに
コミカルなキャラを全面にした”極道”シリーズが作られる。
結局、勝新の「座頭市」と同じ”汚れ役”で
ブレイクしたのも流石に兄弟。
しかし此の兄弟の”映画”に体する執念は
留まるのを知らず
弟が監督業にまで手を広げプロダクションまで
立ち上げたのに対して
兄は小さい頃から柔道で鍛え上げた身体能力を生かし
殺陣では当時、業界一と云われたスピード感に
槍、刀、棒術と、どんな武器も使える器用さ
そして、あの巨体でトンボを切れる=宙で1回転する
彼は映画「子連れ狼」に「魔界転生」と
時代劇の醍醐味を伝える貴重な存在であった。
更にハリウッド映画「がんばれベアーズ大旋風・日本遠征」や
「ブラック・レイン」での堂々たるヤクザの親分の風格は
彼の晩年の代表映画として又
TVドラマでの活躍も目を見張るものがあった。
兄弟が互いにライバルとして切磋琢磨した彼等の作品は
日本映画界に取って貴重な財産だろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿