「寺島町奇譚」滝田ゆう
私の阿佐ヶ谷下宿時代、銭湯の前の貸本屋で
定期的に借りていたのは漫画雑誌「ガロ」だった。
それに彼の漫画が連載されていた。
定期的に借りていたのは漫画雑誌「ガロ」だった。
それに彼の漫画が連載されていた。
だからリアル・タイムで彼の作品は楽しむ事が出来た。
此の玉ノ井・寺島町に登場するキヨシは少年時代の滝田ゆうだ。
生まれた翌日に実母が亡くなり、叔父の家の養子に出されたという。
少年の目で見た戦後の”青線”の風俗、情景が
活き活きと描かれているというには、余りにも哀しく
活き活きと描かれているというには、余りにも哀しく
逆に裏ぶれているが、甘酸っぱいペーソスがあり
同じ頃、貸本屋で借りていた野坂昭如の小説と重なる。
当時全盛の東映ヤクザ映画「飛車角と吉良常」等に登場した
昭和の私娼街=女が体を売る処
それでもアタシャ心は売らないよ、でもアンタ良い人だから
少しだけ心も売っちゃった・・・というオトナの世界。
当時全盛の東映ヤクザ映画「飛車角と吉良常」等に登場した
昭和の私娼街=女が体を売る処
それでもアタシャ心は売らないよ、でもアンタ良い人だから
少しだけ心も売っちゃった・・・というオトナの世界。
そこでの娼婦と客のやりとりは
永井荷風の「濹東綺譚」よりも情景が細かくユーモラスで
下の絵にも描かれている様に男と女、人間の本質が表現されていた。
滝田ゆう氏は晩年、着流しに下駄という出で立ちで度々
新宿ゴールデン街に出没していて
当時サラリーマンになっていた私も時々
BARのカウンターに一緒に並ぶ事があった。
憧れの画伯に、最初は何も話しかけられなかったが
ある日、店に後からフラフラと入って来た彼に
「好きです・・・貴方の絵が」と、初恋の相手の様に告白したが
彼は例のまん丸い目で一瞬「?」
そのままドンとカウンターに潰れてしまった。
今でも着流しに下駄が
あんなに絵になる人は他に見た事が無い。
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