浜村純(1906〜1995)
先日、外国映画「ミスター・ベースボール」を
観ていたら高倉健の父親役で此の人が出ていた。
健さんは中日ドラゴンズの監督
外人助っ人選手をシゴキ直す頑固一徹をまんまで演じていたが
その父親でセリフは少ないが存在感で
同じく関西の名女優・万代峰子と良い夫婦を演じていた。
私が此の役者を記憶したのは今村昌平作品の
「神々の深く欲望」
此の頃、今村はフェリーニに影響を受けていたから
メイクアップに凝りオープニングで
「カザノバ」の様な大きな付け鼻で古事記の
此の世の始まりを子供達に詠う”語り部”役。
「ゆうべ、魂を何処かに落として来た」とサトウキビ畑を
箱車で膝行り回るのがトボケていて面白かった。
彼の鋭い目付きとトツ弁の様なセリフ回しは
否が応にも印象に残り
気が付けば日本映画に無くては成らない名脇役として
巨匠達の作品には必ず彼の名が載っている。
呉服屋の倅から戦前の満州に渡り
戦後は日本の左翼演劇に参加したと云う
観た目、そのまんまのキャラクターだが
志村喬、笠智衆などと違い、陽のあたらない地味な
俳優であった。
彼の写真を探すも似た様な名の関西のタレントのものばかり
結局、此れに成ってしまった。
映画「ミスター・ベースボール」はオーストラリア出身の監督
フレッド・スケピシの作品。
アインシュタイン役をウォルター・マッソーが演じた
私の好きな「星に想いを」という佳作もある。
彼のキャスティングは確かで、此の作品でもトム・セレックという
クセのあるハリウッド俳優を高倉健という
此れ又、クセと云うより”健さん”しか出来ない俳優と
絡ませて面白い野球映画に成った。
野球映画と云えば「がんばれ!ベアーズ」を始め
「ナチュラル」『フィールド・オブ・ドリームス」と
独特の魅力を持った世界だが
此の映画は日本を舞台にしている処に更に親近感がある。
日本女性の描き方等、ハリウッドらしい誤解もあるが
それを面白くしたのは通訳役の”塩屋俊”と云う俳優。
塩屋俊(1956〜2013)
いや英語も達者だが、本音と立て前を使い分ける
日本人独特の憎めない人物像を演じて
高倉健どころか主役のトム・セレックまで食っていた。
余りにも巧いので調べたら慶応義塾文学科卒業後。渡米
彼はニューヨークにある有名俳優養成学校出身の
監督まで出来る俳優であった。
軽妙洒脱な演技と云えば良いだろうか
日本ではTVドラマで活躍していた様だが、去年
芝居公演先の仙台で倒れ、急性大動脈解離離で亡くなっている。
映画には「釣りバカ日記」シリーズに良く出ていた様だが
此の「ミスター・ベースボール」は彼の代表作と云えるだろう。




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