スティーブ・マックイーンSteve McQueen (1930~1980)
まず、彼の生い立ちから話すと
彼をスターダムに押し上げた映画「大脱走」とは
別の「大脱走物語」が、そのまま出来てしまう。
インディアナポリスの曲芸飛行士の父と
家出娘との間に生まれた彼は両親の離婚後
母の再婚相手の都合で各地を転々し、その環境に
馴染めず14歳でカリフォルニアの少年院送り
好きで入った訳ではないから
当然、そこからの脱走は夢見ていたに違いない。
少年院から出た彼に、まともな仕事は有るはずも無く
17歳で海兵隊に入隊している。
後に「大脱走」「パピヨン」で脱走を演じたが
その海兵隊でも何度も兵舎からの脱走を試み
何れも失敗に終わっていたという。
だからオートバイでアルプスを越える「大脱走」の彼や
「パピヨン」で執拗に脱走を試み、そして挫折する悔しさの
演技にリアリティが有るのは当然と云える。
BSでやっていた「アクターズ・スタジオ・インタビュー」に
彼が出た記憶は無いが彼も、そこの出身だ。
1956年「傷だらけの栄光」にポール・ニューマンの悪友役で
映画デビュー、でも出演場面はたった5分程度。
その18年後「タワーリング・インフェルノ」のポスターで
2人が対等に扱われたのに、彼は感慨深いものが有ったろう。
1958年TV「拳銃無宿」に抜擢され
ライフルを短く改造した”ランダル銃”を使いこなす彼が
人気を呼び、TVから生まれたスターのハシリと成った。
クロサワの「七人の侍」をリメイクした「荒野の7人」は
ユル・ブリンナーを主役に、その頃TVで人気の出たスターを
並べたものであったが、此処でもマックイーンは
チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーン、ロバート・ボーンを
押しのけ、際立っていて、果ては
主役のブリンナーを食う勢いであった。
此の映画の大ヒットの二番煎じで
やはりTVスターを競演させた「大脱走」でも彼は
クライマックスでスタント無しのオートバイ・アクションを見せ
名実共にハリウッド大スターの地位を掴んだ。
それでもラルフ・ネルソン監督の「雨の中の兵隊」
ロバート・マリガン監督の「マンハッタン物語」「ハイウェイ」と
地味だが秀作と云われる映画に出演しキャリアを重ね
「シンシナティ・キッド」「ネバダ・スミス」の後
ロバート・ワイズ監督の「砲艦サンパブロ」では
念願のアカデミー主演賞を取っている。
ノーマン・ジュイスン監督の「華麗なる賭け」では
彼のハングリーなイメージとは逆の
大富豪の銀行強盗役はミスキャストと思われたが、
それを追跡するフェイ・ダナウェイとの
大人の恋を絡めた緊張感がアカデミー受賞俳優同士の対決となり
まさに斬新な映像美の完全犯罪映画と成った。
またイギリス監督ピーター・イエーツの「ブリット」では
マックイーンのテスト・ドライバー並みの運転技術で
それまでにないスピード感の有るカー・チェイスと
寡黙な刑事像を造り上げ、此れ以降”刑事もの”の流れが
変わったと云われている。
そのドライブ・テクニック趣味を兼ねた
カー・レース映画「栄光のル・マン」
そしてバイオレンス映画の鬼才サム・ペキンパーと組んでは
まず比較的大人しい「ジュニア・ボナー」そして
ファンの期待に答えるかの様に「ゲッタウェイ」では
スローモーションを多用したアクション・シーンを見せ
共演したアリ・マッグローと恋に落ち、2度目の結婚。
そしてベストセラー小説の映画化「パピヨン」は
「ジョニーは戦場に行った」の脚本家ダルトン・トランボに
共演も名優ダスティ・ホフマンという、お膳立て
まさに脱走男の物語はマックイーンならではの作品だった。
しかし「トム・ホーン」撮影中に
海軍時代、作業中に吸ったアスベストが原因と思われる
中皮腫が発見され、それだけではなく
広瀬隆・著「ジョン・ウェインはなぜ死んだか?」にも
書かれている様に、ネバダ砂漠・核実験汚染地帯での
西部劇ロケを沢山していた彼は残留放射能を浴びて居り
その中皮腫を悪化させたと云われている。
遺作「ハンター」では犯罪者を追う、賞金稼ぎ役であったが
得意のスタントも出来ない程、衰弱していて
追うと云うより、その病に追われる立場であった。
それでも彼らしく不屈の精神で
何とか立ち直ろうと様々な、新しい治療を試み
メキシコの病院で手術後、心肺停止、50歳で死亡した。
様々な脱走を演じた彼も
病からは逃げ切れなかった訳である。
しかし映画「大脱走」で鉄条網に絡まり両手を上げながらも
ニヤリと笑う彼の”Never give up ”精神は
人々の心に永遠に生きている。
別の「大脱走物語」が、そのまま出来てしまう。
インディアナポリスの曲芸飛行士の父と
家出娘との間に生まれた彼は両親の離婚後
母の再婚相手の都合で各地を転々し、その環境に
馴染めず14歳でカリフォルニアの少年院送り
好きで入った訳ではないから
当然、そこからの脱走は夢見ていたに違いない。
少年院から出た彼に、まともな仕事は有るはずも無く
17歳で海兵隊に入隊している。
後に「大脱走」「パピヨン」で脱走を演じたが
その海兵隊でも何度も兵舎からの脱走を試み
何れも失敗に終わっていたという。
だからオートバイでアルプスを越える「大脱走」の彼や
「パピヨン」で執拗に脱走を試み、そして挫折する悔しさの
演技にリアリティが有るのは当然と云える。
BSでやっていた「アクターズ・スタジオ・インタビュー」に
彼が出た記憶は無いが彼も、そこの出身だ。
1956年「傷だらけの栄光」にポール・ニューマンの悪友役で
映画デビュー、でも出演場面はたった5分程度。
その18年後「タワーリング・インフェルノ」のポスターで
2人が対等に扱われたのに、彼は感慨深いものが有ったろう。
1958年TV「拳銃無宿」に抜擢され
ライフルを短く改造した”ランダル銃”を使いこなす彼が
人気を呼び、TVから生まれたスターのハシリと成った。
クロサワの「七人の侍」をリメイクした「荒野の7人」は
ユル・ブリンナーを主役に、その頃TVで人気の出たスターを
並べたものであったが、此処でもマックイーンは
チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーン、ロバート・ボーンを
押しのけ、際立っていて、果ては
主役のブリンナーを食う勢いであった。
此の映画の大ヒットの二番煎じで
やはりTVスターを競演させた「大脱走」でも彼は
クライマックスでスタント無しのオートバイ・アクションを見せ
名実共にハリウッド大スターの地位を掴んだ。
それでもラルフ・ネルソン監督の「雨の中の兵隊」
ロバート・マリガン監督の「マンハッタン物語」「ハイウェイ」と
地味だが秀作と云われる映画に出演しキャリアを重ね
「シンシナティ・キッド」「ネバダ・スミス」の後
ロバート・ワイズ監督の「砲艦サンパブロ」では
念願のアカデミー主演賞を取っている。
ノーマン・ジュイスン監督の「華麗なる賭け」では
彼のハングリーなイメージとは逆の
大富豪の銀行強盗役はミスキャストと思われたが、
それを追跡するフェイ・ダナウェイとの
大人の恋を絡めた緊張感がアカデミー受賞俳優同士の対決となり
まさに斬新な映像美の完全犯罪映画と成った。
またイギリス監督ピーター・イエーツの「ブリット」では
マックイーンのテスト・ドライバー並みの運転技術で
それまでにないスピード感の有るカー・チェイスと
寡黙な刑事像を造り上げ、此れ以降”刑事もの”の流れが
変わったと云われている。
そのドライブ・テクニック趣味を兼ねた
カー・レース映画「栄光のル・マン」
そしてバイオレンス映画の鬼才サム・ペキンパーと組んでは
まず比較的大人しい「ジュニア・ボナー」そして
ファンの期待に答えるかの様に「ゲッタウェイ」では
スローモーションを多用したアクション・シーンを見せ
共演したアリ・マッグローと恋に落ち、2度目の結婚。
そしてベストセラー小説の映画化「パピヨン」は
「ジョニーは戦場に行った」の脚本家ダルトン・トランボに
共演も名優ダスティ・ホフマンという、お膳立て
まさに脱走男の物語はマックイーンならではの作品だった。
しかし「トム・ホーン」撮影中に
海軍時代、作業中に吸ったアスベストが原因と思われる
中皮腫が発見され、それだけではなく
広瀬隆・著「ジョン・ウェインはなぜ死んだか?」にも
書かれている様に、ネバダ砂漠・核実験汚染地帯での
西部劇ロケを沢山していた彼は残留放射能を浴びて居り
その中皮腫を悪化させたと云われている。
遺作「ハンター」では犯罪者を追う、賞金稼ぎ役であったが
得意のスタントも出来ない程、衰弱していて
追うと云うより、その病に追われる立場であった。
それでも彼らしく不屈の精神で
何とか立ち直ろうと様々な、新しい治療を試み
メキシコの病院で手術後、心肺停止、50歳で死亡した。
様々な脱走を演じた彼も
病からは逃げ切れなかった訳である。
しかし映画「大脱走」で鉄条網に絡まり両手を上げながらも
ニヤリと笑う彼の”Never give up ”精神は
人々の心に永遠に生きている。
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大脱走のバイクシーン観賞させていただきました本当に記憶に残る名場面ですね。 私は拳銃無宿の大ファンでした。 無口な賞金稼ぎのジョッシュがお尋ね者の悪漢と撃ち合いをするのですが、走りながら特殊な拳銃を両手で持ち、左手で銃身を握り右手は薬莢送りのレバーをガシャンガシャンと上下させながら撃ちまくり、相手を撃ち倒す。 そして、ピストルよりはるかに長いランダル銃をくるっと回転させてからホルダーに納めるのです。 その仕草がとっても格好良くて、他の西部劇とは・・・・
返信削除私はTV「拳銃無宿」は観ていなかったので
返信削除「荒野の七人」のマックイーンは衝撃でした。
「コンバット」みたいに本屋でDVD出して
くれたら良いですね。