ロバート・アルドリッチの世界
此の監督はアメリカ映画の中でも特別な存在だ。
別に斬新な表現をしている訳ではないが
取り上げる主題がいつも過激なのだ。
映像バイオレンスならサム・ペキンパーに譲るとして
彼の場合は人間の執念、憎悪が映画の”核”となり
緊張感を、此れでもかと高め一気に爆発させる。
西部劇「ベラクルス」でメキシコを舞台に
ゲイリー・クーパーとバート・ランカスターを戦わせ
70mmスペクタクル映画のアンカーとなった
「ソドムとゴモラ」は旧約聖書の話だが
スチュワート・グレンジャーとスタンリー・ベーカーが
崩れ落ちるソドムとゴモラを背景に
燃え盛る炎の如くの対決をした。
「特攻大作戦」では犯罪者(ならず者)を集めた軍隊を組織する。
その続編「燃える戦場」には南太平洋のジャングルを舞台に
英国と日本軍の戦い、我らが高倉健が出演した。
(機会があれば健さんに監督アルドリッチ評を聞きたいものだ)
男だけでなく女同士が憎しみをぶつけ合う
「何がジェーンに起こったか?」では往年の大女優
ベティ・デーヴィスとジェーン・クロフフォードが
惜しげも無く老醜を曝け出し、
新しいホラー映画の様な世界を造り上げたが
大ヒットし続編「ふるえて眠れ」まで出来た。
そして極めつけ、彼の代表作「北国の帝王」が
北米大陸鉄道の機関士と無賃乗車者(ホーボー)の戦い。
アーネスト・ボグナインとリー・マーヴィンの
男同士の対決に 鬼気迫る迫力があった。
彼が好んで使うのはバート・ランカスターを始めとした
スタンリー・ベイカー、リー・マーヴィン、バート・レイノルズ
と”ムサい”個性派俳優ばかり。
昨日、紹介したピーター・フォークまで
「カリフォルニア・ドールズ」で
女子プロレスラーのマネージャーという役を演じた。
何だか争いが有る処に出没する
宇宙人”プレデター”みたいな監督だ(笑)
とにかく「飛べ!フェニックス」に象徴される
極限まで追いつめられた人間達の確執を描かしたら
右に出る者の居ない監督
彼の映画は絶対面白い!という事だ。
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