2013年11月27日水曜日

ドキュメンタリー「君は桂枝雀を知っているか?」
前から枝雀の落語は好きだったが
私は関西人では無いので彼の生い立ちや
経歴は良く知らなかった。
録画して置いた此の番組を昨夜観てみた。
文化庁芸術祭参加と冠してあったので
さぞかし凝っているかと思ったが
意外に普通の作りだった。
それでも彼が小学生の時、実弟と組んでやった漫才や
初期の高座の様子など初めて観る映像ばかり。
そして、天才と云われた彼の芸が完成される過程を
側近の兄弟弟子のインタビューで丁寧に追い
更に彼の芸の工夫と努力を
残されたノート等から分析していた。
ナレーション・宮崎美子の丁寧な解説も心地良く
不世出と云われた彼の芸と人生が見事に浮かび上がった。
人生と云えば此の番組は
彼の身内(実の息子)二人までインタビューして
彼の自殺の原因まで追求していたが
「最期の頃は父と云うより別人の様でした。
普通、癌になった人に何故、癌になったんですか?とは
聞かないですけど、鬱もそれと同じです
治らない心の病なんです、なった理由は解りません」
と、しっかり答えた息子に
前田 逹(とおる)という父親は
キチンと子育てはしていたのだなと改めて感動した。
そして
「桂枝雀の子供に生まれて良かった!」と
嬉しそうに話す2人に泣けた。
先日も此のサイトで
最近のドキュメンタリーの質の低下
対象に対する掘り下げの浅さを嘆いた私だが
此の様な番組を観ると嬉しく成る。
インタビューされていた枝雀を惜しむ彼のファンより、更に
番組制作者が本当に彼を愛していた姿勢を感じるからだ。
今年で枝雀を襲名して40年、
まだまだ彼の芸は輝いている。

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