2013年9月13日金曜日

インドシナ(1992)
インドシナは植民地だった昔のベトナムの名前。
その統治時代アメリカはコカ・コーラと枯葉剤で
奇形児しか残さなかったが
フランスは美味しいコーヒーとパンを残して行ったと
ベトナム人が言ったとか?
そんなアメリカ以前、フランスが植民地にしていた
インドシナでゴム農園を経営していた女性の物語。
そのヒロインを女盛りのカトリーヌ・ドヌーブが演じる。
流石にフランスを代表する大女優だけあって
2時間半の大作映画が短く感じられる程
豊かな表情で演じ分ける。
ストーリィは飛行機事故で亡くなった安南皇室の娘を
ヒロインが養女としてゴム農園で育てる処から始まる。
その間も彼女はフランス人将校と愛欲に溺れたり
アヘン中毒に成ったりするのだが
ルイス・ブニュエル作品でカトリーヌ・ドヌーブは
「昼顔」など背徳的な役は、こなしているので
ごく自然な成り行きとして物語が進行する。
その内、養女の娘が成長し
別れたはずの将校に命を助けて貰った事から
養女は将校に恋をして
それを疎んだドヌーブが馴染みの軍の上役に頼んで将校を
遠く離れた僻地に左遷させてしまう。
彼を追っていった養女は、一緒に旅した難民家族を助ける為に
奴隷収容所の所長を殺してしまい、拘束される。
それを救ったのが、先のフランス人将校。
逃避行の二人はハロン湾をジャンク(帆船)で彷徨い
ある漁村に辿り着き、ようやく結ばれる。
此の世界自然遺産でもあるハロン湾の素晴らしさを
撮ったカメラが、此の映画のもう一つの見所。
おそらく今のフランス映画では到底出来ないスケール。
ベトナム戦争、米軍撤退後の政府あげての全面協力と思われる。
だからインドシナのジャンヌ・ダルクとして
その養女が共産主義の女神に祭り上げられる下りも
出て来るが、あくまでも主役はカトリーヌ・ドヌーブ。
そのフランス人将校と養女との間に出来た息子を引き取り
やっと刑務所で養女を見つけても
彼女は共産主義者としてベトナム独立運動に従軍してしまう。
彼女の養女への想いは
インドシナを手放したフランスの郷愁と重なる。
此の養女を演じたベトナム女優リン・ダン・ファンが可愛い。
幼い少女から母になり、革命の闘士と変化する様を健気に演じる。
そんな殺伐とした動乱の時代を描きながら
フランス人から見た、異国情緒(コロニアル・スタイル)を
丁寧に映した美術、衣装が素晴らしい。
日本でも此の映画がヒットし、特に女性に受けたのは、その辺りだろう。
確か、此の映画が公開されてからベトナム観光が流行した様な気がする。
しかし現実には悲惨な独立運動だったはずで
ベトナムの歴史を描いたとしたら生温いと云う人も居るだろうが
でも此の映画はカトリーヌ・ドヌーブと
戦前のベトナム=インドシナの美しさを味わう作品なのだ。
只ただインドシナの香りを素直に楽しめば良い。

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