ゼロ・ダーク・サ−ティ(2012)
「ハート・ロッカー」で2009年アカデミー作品賞をはじめ
6部門もの賞を総なめにした女性監督キャスリン・ビグローの
次回作は同時多発テロの首謀者ウサーマ・ビン・ラーディンを
追いつめた女性CIA諜報部員の実話だと云う。
彼女がパキスタンの米国CIAに派遣され、
捕虜の拷問に立ち会う処から始まり
その残酷さに目を背けていたはずの彼女が
仲間の女性局員を自爆テロで殺され
自分も現地のテロ組織に襲われながら徐々に
1枚の写真からオサマの住所を突き止め、政府を動かし
ニュースでも公開されたパキスタンのウサーマの館を
急襲させるまでを描いている。
此の急襲開始時間”午前0時30分”を軍事用語で
”ゼロ・ダーク・サーティ”と云う事から題名を付けたらしい。
此の役を演じたのが、ジェシカ・チャスティン。
此の女優,前にTVの名探偵ポアロの
「オリエント急行殺人事件」で観た記憶が有る。
見た目は、実に、ひ弱な身体だが、その執念の深さは
「ドラゴン・タトゥーの女」とイイ勝負。
その気の強さは周りの男性達が皆、軟弱に見える程。
実際、此の映画の監督キャスリンも身体は細いが
ハリウッドでは誰も彼女に逆らえない性格という、もっぱらの噂。
元・亭主のジェームス・キャメロンでさえ、映画「アバター」は
同年のアカデミー賞を全部彼女に取られてしまったのだから
・・・という楽屋落ちは、ともかく
デビューの「ブルー・スチール」以来
ダイナミックなアクション・シーンのテンポと迫力は
マイケル・ベイか、リドリー・スコット並み
今のところ当代随一かも知れない。
此の映画でもネービー・シールズ(特殊海兵隊)を使った総攻撃は
そのドキュメンタリー・タッチの映像効果も相まって本物以上。
前作「ハート・ロッカー」もそうだったが、まったく心臓に悪い。
しかし、急襲成功後、彼女がウサーマの死体を確認し
1人きりになった時、流す涙に
此の映画で監督キャスリン・ビグローが
真に伝えたかったものが伝わる。
昨日もパキスタンのキリスト教会で
アルカイダの自爆テロに70人死亡のニュース
中世の十字軍以来の宗教戦争
どこまで続く人間同士の醜い殺し合い。
ジョン・レノンの”イマジン”の歌詞ではないが
考えてごらん、宗教なんて無い世界を
考えてごらん、国なんてない世界を・・・。
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