2013年2月12日火曜日

(日本映画・男優編)


木村功(1923~1981)
彼は広島出身、海軍から復員したが、家族を全員原爆で失っている。
そんな不幸な経歴があるが、上京して俳優座に入団、
新劇俳優として舞台に立つ。
その痩せた風貌を黒澤明に買われ
映画「野良犬」で三船敏郎に追われる犯人役に抜擢される。
その後も「生きる」「七人の侍」「蜘蛛巣城」「天国と地獄」と
重要な役で起用され、その演技を高く評価される。
そして俳優座を退団し、岡田英次らと「青俳」を結成。
しかし彼が輝いたのは舞台では無くスクリーン。
日本映画の名作に驚く程,参加している。
内田吐夢の「宮本武蔵」では本位田又八
山下耕作の「関のヤ太っぺ」では箱田の森介

篠田正浩の「暗殺」では佐々木只三郎と
いづれも、その作品の核となる人間臭い脇役を見事に演じた。
そしてメジャーな会社以外の作品
「山びこ学校」「真空地帯」「雲ながるる果てに」「悪党」と
独立プロ系にも多く参加している。
今井正作品では「米」「純愛物語」「武士道残酷物語」と
何れもヒーローとは対局的な人間の弱さを感じさせる役が多く
そして私が此のシリーズを始めるキッカケに成った
「にっぽんのお婆ちゃん」の哀れなセールスマン役が記憶に残る。
”主役を引き立てる脇役”
私の知る限り彼ほど的確に、それを演じた俳優は
居ないかも知れない。

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