2012年12月31日月曜日

(日本映画・男優編)
渡辺篤(1898〜1977)

浅草生まれの群馬育ち、丁稚奉公などで苦労した後
オペラ俳優の道を目指すも、目が出ず、戦前の松竹で
斉藤寅次郎作品で喜劇俳優として人気を得る。
特に五所平之助の日本初トーキー映画「マダムと女房」は
田中絹代と主演だった。
その後、黒澤明の「素晴らしき日曜日」「どですかでん」
特に「どん底」での名演は私の記憶に残っている。
社会の底辺で、なりを潜めて生きている”鼠”の様な
人間像を軽く演じさせたらピカイチだった。

中村是好(1900〜1989)
佐賀県出身だが28歳の時、友人だったエノケンこと
榎本健一のカジノ・フォーリーの旗揚げに参加し
それ以来行動を共にしている。
映画でもエノケンと良く共演していて
エノケンの「孫悟空」で沙悟浄を演じたのを私は覚えている。
余りにも、その沙悟浄がハマッて居たから、
その後、演じてた俳優には皆、違和感がある。
だいたい彼の口の形は、ご覧の様に河童のそれだ。
「お母さん」「煙突の見える場所」「キクとイサム」と
成瀬巳喜男、五所平之助、今井正の文芸作品に
「日本一のゴマすり男」「喜劇・駅前開運」と
喜劇まで幅広く活躍し、怪獣映画にまで出ていた。
TVドラマでも渥美清の「泣いてたまるか」池内淳子の「女と味噌汁」
シリーズでレギュラー出演した。
趣味は盆栽で「日本アマチュア小品盆栽愛好会」会長を
21年間努めたという。

三井弘次(1910〜1979)
神奈川県横浜生まれ、
父親が松竹系の映画館を経営していたので
幼い頃から映画には慣れ親しんでいたという。
慶応義塾大学在学中に松竹蒲田撮影所に出入りし
そのまま俳優と成る。

戦前の五所平之助、小津安二郎監督

戦後は黒澤明、木下恵介、今井正
渋谷実、中村登監督といずれも松竹作品が多いが
とにかく日本映画の名傍役
そしてTV時代にも松本清張シリーズの刑事役
「若者たち」「泣いてたまるか」「銭形平次」「子連れ狼」と活躍した。
独特の鼻にかかった声の人間味溢れる演技は
アドリブが多かったという。



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