2012年12月23日日曜日

(日本映画・男優編)
小笠原章二郎(1902〜1974)
此の俳優の顔は小林正樹の「人間の条件(第四部)」で覚えた。
気の弱い古参二等兵で意地の悪い上官に苛められる役だった。
苛められ過ぎて無口に成り、いつも遠くを見ている老兵の
虚ろな姿が哀れだった。
「喜劇・にっぽんのお婆ちゃん」では更に無口というか
まったくセリフ無し!精神を病んで上着のジッパーを
上げ下げしているだけのボケ老人を演じていた。
しかし此の役者,実は生い立ちが凄い。
旧・唐津藩主子爵・小笠原長生と元・前橋藩主伯爵・松平直方の娘
との間に生まれた小笠原家の次男
名家を飛び出し映画プロダクションを起こした長男の後を追い
俳優を志したのが1921年頃
その後、その家系を生かした時代劇のお殿様役等を経て
喜劇から社会ドラマまでの渋い脇役俳優と成る。
たとえセリフが無くても、その”アブナイ”表情は
強烈な存在感を示し一度観たら忘れられない。



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